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精霊魔法 → 拠点

「次は家を作ろうか? 魔力はまだ大丈夫?」

「はい、【精霊魔法】は精霊たちとの交信に一番魔力を使うんです。精霊たちの力を底上げしようと思ったらさらに魔力を使いますが、精霊たちのできる範囲のことをお願いするならさほど消耗しません」


 そうなんだ、ということは【精霊魔法】かなりコストパフォーマンスがいい魔法ということになる。それなら使える場所とか条件が多少制限されるけどできれば全員覚えておきたい。ただ、スキルだけ覚えていても精霊と話ができないと意味がない可能性があるので、その辺は要確認かな。

 いざ話し方を覚えるとなると、精霊と話ができるようになるのはエルフでも簡単じゃないみたいなので、なかなか苦労しそうだけど。


「じゃあ、もう少しお願いするね。…………えっと、どの辺がいいかな」


 僕はタツマをつれてダンジョン近くの木々の間を歩き回りながら、条件のいいところを探す。


『リューマ、ここがいいんじゃねぇか。地面は平らだし、いい間隔で木が生えてる。それに上の枝葉も濃いから雨もかなりふせげそうだしな』

「うん、よさそうだね。シルフィ、ここの木と木の間にちょっと厚めで土の壁を作れる?」

「はい、やってみます」


 シルフィは頷くと、精霊語と呼ばれる魔力を込めた言葉で精霊たちに語り掛けていく。やがて呼びかけに応えた土の精霊の力により、指示した木と木の間に土壁ができていく。 高さは3メルテくらいで、厚みは5センテくらいの立派な壁だ。

 精霊魔法は精霊との会話ありきのため効果が現れるのにちょっとしたタイムラグがあるのが欠点だけど効果や汎用性はとても高い。それによく使う効果なんかは呪文という形で精霊たちと合言葉を決めておけば短い発動までの時間を短縮できるらしい。



「すごいねシルフィ。これなら魔物がきても壊されないよ」

「ありがとうございます。でも、天井部分はちょっと強度に不安があるので……」


 地面から真っ直ぐ壁を立てるのと、壁経由で天井を作るのとでは難易度が違うのかな? 無理に塞いでもらっても重みで真ん中が抜ける可能性もあるし、屋根型にするのも枝が邪魔したりしてるし難しいか……どうせ出入り口はなんとかするつもりだったし、天井も僕がなんとかしよう。


「うん、天井はなんとかするから残りの壁もお願いしていいかな? あそこだけ出入り口として使うから残しておいてくれる?」

「はい、わかりました。お任せください」


 拠点にしようとしているスペースの周りには木が7本あるので、その木の間を土壁で塞ぐ。そのうち一番間隔が狭い部分は出入り口として使う予定。うまく完成すれば三人なら十分くつろげるだけの空間が確保できる。


『だいたい、八畳くらいか……三人なら十分だろ。出入り口と天井はどうするんだ?』


 タツマの質問はもっともで、どうせなら全部土壁にしてしまえばいいんだけど、出入りするたびにシルフィに解除してもらって再構築するのは面倒だし、シルフィに負担をかけすぎる。ここで僕の【木工2】スキルが役に立つ。


「僕は天井と出入り口を作ってくるからよろしくね」

「はい」


 シルフィにお願いして拠点予定地を出ると、近くで薪となる木をを集めてくれていたリミが手を振っていた。


「あ、りゅーちゃん! 見て! だいぶ集まったよ」

「本当だ、ずいぶん頑張ったね、ありがとうリミ。じゃあ、この辺の大きい木は僕が使うから、残りの薪を持ってシルフィのところへ持って行ってくれる? 今日は拠点の準備で終わると思うから食事の準備もお願いしていいかな」

「わかった。じゃあシルフィと準備しておくね」


 薪の山を抱えていくリミを見送ると僕は槍をアイテムバッグから取り出して構える。近くの木の枝をぐるりと見回して適度な太さで比較的真っ直ぐな枝に目星をつけると、えいっと槍を振って枝を切り落としていく。

 あとは【木工】スキルを駆使して枝を加工、組み合わせて扉と天井を作るだけ。勿論、家についているような扉じゃないけど、そこそこの強度があればそれでいい。魔物が襲ってきても壊すのにちょっと手間がかかる程度の強度があれば、こちら側が不意を突かれることはないからね。


 そうやって出来上がった扉と天井を拠点に設置。扉も天井も組み合わせた木々の隙間には葉の付いた細い枝を差し込んでいるからある程度カモフラージュにはなるし、まったく向こうが見えないという訳でもないので何かが来てもわかる。これならスペースの中でテントを使って寝ても大丈夫かな。ちゃんと休める環境がないと腰をすえて修行なんてできない。

 

「リューちゃん、ご飯出来たよ」

「うん、ありがとう。いま行く」


 拠点の中は天井が空気を通すので火も使えるんだけど、扉と天井を作って帰ってきたらシルフィが土で竃を作ってくれていて、煙を排出する煙突もあったので本当に家みたいになっていた。土の精霊魔法がこんなに便利だとは思わなかった。


「でも、こちらの意向を精霊たちにちゃんと伝えるのはとても難しくてコツと根気がいるんです。誰でも簡単にという訳にはいかないかも知れません」


 シルフィはそう言っていたけど、僕は俄然精霊魔法を使ってみたくなってしまった。これからシルフィにいろいろ教えてもらおう。

 

 リミたちが作ってくれた、キノコと干し肉を戻して煮込んだスープと、途中で狩った兎の肉を焼いたもので食事を取ったあと、明日からのダンジョン修行について軽く打ち合わせてから拠点内に小さいテントをふたつ設置した。

 女性陣ふたりと、僕とタツマとモフにわかれて、久しぶりに落ち着いた眠りについた。


 さあ、明日から頑張ろう! 


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