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ガードン → 復活

 回復魔法を使うためのイメージはしたことはないけど、いつも綺麗で自慢だった母さんの姿を僕は良く知ってる。治る過程はイメージできなくても、いつもの母さんをイメージすることは出来る。


 母さんの顔に左手の手のひらを、下腹部辺りに右手のてのひらをかざして回復魔法の力が母さんを包み、循環するイメージ。そしてそれに伴って、【再生】スキルと回復魔法が助け合って元の母さんに戻るイメージを強く持つ。


 目を閉じてそれだけを一心にイメージする。身体から魔力とか気力とか呼ばれる体力とは違う内なる力がどんどんと抜けていくのを感じけど、まだだ!まだ足りない!もっと力を絞り出せ!


 母さん。僕のたった一人の母さんを奪わせない!僕の魔力なんて全部くれてやる!




「……リュ……マ…………も……丈夫よ。……がとぅ」


「母さん!」


 集中していた僕の手を優しく包む感触と、かすれてはいたけどいつもの安心する声。目を開けてみると幾分落ち着いた感じの母さんの目が涙に濡れていた。きっと優れた冒険者だった母さんは自分の傷がもう助からないものだと理解していたんだと思う。


 だけど、今の治療で助かるかもしれないと思って安心したのかもしれない。その涙が流れる顔の皮膚もさっきに比べれば大分綺麗になっている気がする。これなら後は【再生】スキルに任せておけば火傷で死んでしまうことはないはず。


「リュ……マ……お、と……うさんを」


「うん、わかった。ちょっと待っててラビナさんが戻って来たら2人で東門の方へ逃げてね」


 【技能交換】を隠す為にラビナさんを遠ざけたけど、こうなってくると早く戻ってきてほしいと思ってしまうのはわがままだろうか。


 でも、よく考えたらまだ戻ってきたら困るんだった。早く父さんを回復させてあげなくちゃ。ヒュマスさん達だって長くは持ちこたえられないって言ってたし。


 僕は後ろ髪を引かれつつも母さんの所を離れて父さんの下へ移動し【鑑定】を掛ける。


名前: ガードン 

状態: 麻痺(強)

LV: 38 

称号: 村の守護者(村近辺での戦闘時ステータス 微増)

年齢: 37歳

種族: 人族

技能: 槍術5 剣術2 弓術3 採取2 解体2 料理1 手当3 狩猟3 育児1

特殊技能: 気配探知

才覚: 槍術の才


 うん、やっぱり麻痺だ。しかも結構強いものらしい。普通の麻痺ならいけると思ったんだけど強麻痺でも大丈夫かどうかはやってみないと分からないか。


「父さん、今から【技能交換】するから受け入れてくれる?」


 父さんは僕の問いかけに目線だけではっきりと『お前を信じている。好きにやれ』と言ってくれた。……気がする。


 よし!後はやるしかない。


技能交換(スキルトレード)

 対象指定 「狩猟3」 

 交換指定 「麻痺耐性2」

【成功】


 強麻痺が僕の持っていた【麻痺耐性2】で消えるかどうかは賭けだ、うまく行ってくれ!


「……よくやった!リューマ!」


「父さん!うまくいってよかった」


 父さんはむくっと身体を起こすと僕に一言声を掛け、すぐに母さんの下へと向かった。


「マリシャ……済まなかったな。俺が不甲斐ないばかりにお前を先頭に立たせてしまった」


 母さんの手を握る父さんの肩が少し震えている。


「あな……た」


「喋らなくてもいい、お前の言いたいことは分かる。何年一緒にいたと思っている。……ああ、そうだな。リューマは立派に成長した。お前はそれが嬉しいんだな」


 え……さっき母さんが泣いてたのって……命が助かったからじゃなくて、僕が立派になってたから?やばい、こんな時なのにちょっと目から水が……


「お待たせしました!って、えぇ!ガードンさん動けるようになったんですか!」


「ああ、心配かけたねラビナ。私とリューマはこれから魔物を足止めしにいく。だから君はマリシャを連れて村の外へ避難していてくれ。マリシャも肩を貸してくれればなんとか歩けるはずだ」


「え?……そんなはずは」


「よろしく頼む」


「は、はい!わかりました」


 父さんが戻ってきたラビナさんに頭を下げつつも有無を言わせない指示を出す。なんか父さんからの指示は凄い安心する。これが長年村を守ってきた守護者としての貫録なのかもしれない。


「いくぞ。リューマ」


「はい!」


 路地裏を出ていく父さんの後ろをモフとタツマと一緒についていく。これから危険な場所に行くというのに、僕を連れて行くという姿勢を父さんは崩さない。


 これは多分僕を1人前と認めてくれたということだと思う。今まで厳しく訓練はしてくれていてもどこか見守ってくれている感じだったのに今はその甘さがない。それはとても大きなプレッシャーとしてのしかかってくるけど……それ以上になんだか嬉しく思ってしまう。


 父さんの早足での移動は路地裏を出てからも淀みがない。父さんには【気配探知】があるから魔物の位置は既に把握済みのはず。それでも駆け出さないのは、本当に麻痺の影響が消えているのかどうかを動きながら確認しているんだと思う。


「リュー、何を交換した」


「僕の【麻痺耐性】と、父さんの【狩猟】を交換したんだ」


「母さんは?」


「母さんには回復魔法をかける必要があったから、母さんの【回復魔法】と僕がスライムと交換していた【再生】をトレードした。母さんの体力が回復すれば【再生】スキルも強く働くから、身体の火傷もどんどん良くなると思う」


「そうか……いろいろと聞きたいことはあるが……まずはよくやってくれた。おかげで父さんも母さんも助かった。戦闘系のスキルに変更が無いならいつも通りに戦えるな。あいつの【鑑定】はしたか?」


「ごめん……あいつをなんとかするにはまず父さんの力が必要だと思ったから、すぐに離れちゃったんだ」


「いや、構わないさ。お前が早く来てくれなければ母さんは危なかった」


 立ち止まって僕の頭を撫でた父さんは、その場で屈伸や柔軟などの動きを始める。


「よし……麻痺の影響は完全に抜けている。ここからは走るぞ!リューはまず魔物の鑑定を頼む。それからは俺の指示に従え」


「はい!」




今回のわらしべ

『 麻痺耐性2 → 狩猟3 』



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