両親 → 再会
【隠密】と【統率】を全開にしながらフレイムキマイラ方面に向かって走る。モフには父さんの臭いを探してくれるように依頼済みだ。はっきり言って父さんが既に死んでいたとしたらあいつを倒すのは厳しい。ていうか無事でいてよ!父さん!
フレイムキマイラのブレスに巻き込まれたくないので【隠密】を信じてフレイムキマイラの見える場所を走って近づいていく。すると、フレイムキマイラの周囲を何かが動き回っているのが確認できた。
西門で召喚されたはずの魔物がどうして未だに西門付近にいるのかと思っていたけど、どうやら村の皆を逃がす為に身体を張っている人たちがいたらしい。
「ヒュマスさん!」
フレイムキマイラから離れた場所で弓を射って牽制をしていたヒュマスさんを見つけたので後ろから声をかける。
「おお!びっくりした、いつの間に……リューマ君!無事だったか!」
隠密状態で声を掛けた僕に一瞬だけ視線を向けたヒュマスさんはすぐにまた弓を射ち始める。フレイムキマイラの周囲ではドワーフのガンツさんが大きな槌を、人族のダイチさんが大剣を振り回してフレイムキマイラの注意を引き続けている。だけど、そこから少し離れたところには槍を持ったまま猪人族のイノヤさんが血まみれで倒れ伏している。
「ヒュマスさん!父さんと母さんはどうしたんですか!2人が居ればもっと!」
これ以上村人たちに犠牲が出て欲しく無い。この場を何とかするためには父さん達の力が必要だ。
「ガードンさんは麻痺をしていて動けない。さっきまではマリシャさんが皆を指示して戦ってくれていたんだが、さっきのブレスで……」
「母さんは大丈夫なんですか!」
「……生きてはいる。だが、ブレスの近くにいたせいで火傷が酷いのと炎を吸い込んだらしくて声が出ないんだ」
くそっ!声が出なかったら呪文を唱える魔法は使えない。ということは母さんの回復魔法も使えないってことだ。
「父さんと母さんはどこですか?」
「2人は村の希望だ。近くにいた者に頼んで2つ先の路地裏に隠れて貰っている」
「わかりました!父さん達は僕がなんとかします!もうすこしあいつを引きつけておいてください!」
「……わかった。頑張ってみるよ。でも長くはもたないよ。狩りに行っているシェリル達が戻って来てくれるといいんだが、多分間に合わないだろうな」
ヒュマスさんの声には諦めが滲んでいる。父さんと母さんが動けない状態じゃ諦めたくもなるだろう。
「なるべく早く戻ります。死なないで下さいよヒュマスさん」
ヒュマスさんはまた一矢を放つと、位置を移動しつつ手だけを振ってくれた。これ以上誰かを死なせないためにも生きててくれた父さん達をなんとかしなくちゃならない。
走り出した僕の視線の先に、既に父さんの臭いを捉えていたのかモフが目的地の路地の入口で僕を待っている。頼りになる相棒である。
「父さん!母さん!」
「リューマちゃん!良かった!マリシャさん、リューマ君生きてましたよ!」
モフの示す路地に駆け込むと父さんと母さんは路地裏に寝かされていた。その2人を管理所で働いている兎人族のラビナさんが看病してくれていた。
近づいてみると、父さんの方は特に目立った外傷はないけど、ヒュマスさんが言っていたとおり麻痺しているのだろう。どうしても身体が動かせないみたいで自分の不甲斐なさを憤ってか怒りを湛えた瞳を魔物のいるだろう方へ向けていた。僕の声に気づき僅かに動かせる視線で僕の姿を見た父さんは明らかに安堵の表情を浮かべた。
僕はひとまず父さんに頷きを返すと母さんの様子を見る。
母さんは……濡れたタオルで全身を覆われていた。きっと全身が火傷しているんだ。中2の知識を得た僕は全身の何十パーセントかが火傷すると命が危ないと知っている。早くなんとかしないと母さんが死んでしまう。母さんは目と口回りだけが外気に晒されている状態だけど、僕を見た瞳が何を言っているのはすぐに分かった『逃げなさい!』だ。
「ダメだよ母さん。2人を置いて逃げる訳にはいかない。ラビナさん、どこかから水を汲んできてもらえますか?危ないのでなるべく魔物から遠ざかる方向で探してきてください。父さん達は僕が看てますから」
「わかりました。すぐに戻りますから、そうしたら2人で協力してガードンさんとマリシャさんをもう少し安全な場所へ移しましょう」
その言葉に頷いた僕を見て、ラビナさんは水を探しに恐る恐る路地裏を出て行った。今の内だ!まずは危険な母さんの方から。
「母さん!」
名前: マリシャ
状態: 瀕死(火傷)
LV: 31
称号: 守護者の伴侶(守護者の近くでの戦闘時ステータスUP 小)
年齢: 34歳
種族: 人族
技能: 剣術4 槍術2 弓術2 採取2 解体1 料理3 手当4 狩猟2 裁縫2 掃除2 育児2 回復魔法2
特殊技能: なし
才覚: 剣術の才
やっぱり状態がやばい!まずは火傷をなんとかしなきゃ!訓練でちょいちょい怪我をする僕とリミを治す為に使ってくれていたおかげで回復魔法のレベルが上がっているのがありがたい。
「母さん!母さんが呪文を唱えられないなら僕が母さんに回復魔法をかける。スキルを交換するよ」
母さんの目が一瞬驚きで大きくなったが、すぐに納得がいったらしく目で了承してくれた。
【技能交換】
対象指定 「回復魔法2」
交換指定 「再生2」
【成功】
よし!同レベル同士だし母さんの同意もあるから失敗はしないはずだけど成功してよかった。大きな火傷を負ってしまった母さんを助ける為には使ったことのない僕の【回復魔法2】だけでは不安だったので皮膚の再生の助けになればと【再生2】を渡した。これでいくらか助かる可能性が増えて欲しい。
すぐさま僕は回復魔法を使うためにイメージを練る。魔法に関してはタツマから厳しく指導されていて、『呪文を唱えるなんて邪道だ!無詠唱がテンプレだ!スキルさえあれば魔法なんてイメージでなんとかなる!』という考えの下で魔物と交換した【風術】と【水術】を無詠唱で使えるようになるまで練習した経験がここで活きる。
今回のわらしべ
『 再生2 → 回復魔法2 』




