表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/134

スキル → 可能性

 魔物が持っているスキルと交換する。僕が短期間で強くなるためには地道な努力以外では確かにそれしか方法はない。現に初めての狩りの時にゴブリン達から得たスキルは僕を確実に強くしてくれている。


「でも、村の周辺は常に監視されてるから『はぐれ』がきてもすぐに討伐されちゃうんだ。それにもともと魔物がいるような所の全てからなるべく離れた所にポルック村は作られているし……」


『何言ってんだ。例の狩りをする森あっただろ。あそこに行けばいい』


 確かに『狩人の森』なら、ちょっと奥に行けば魔物も出てくると思うけど、父さんの狩りの頻度は高くないし、他の狩担当班に混ぜて貰うのは10歳だと厳しい。それに【技能交換】のことが知られる危険が増える。


『狩りをする奴らとは会わないようにすればいいし、それが無理なら誰も狩りに行かない日を狙って1人で行けばいい。村の外に出ること自体は出来るんだろ。片道2時間なら十分行って帰って来れる。走って行けば訓練にもなるしな』


 ポルック村の狩をする班は2つ。それぞれが交代で森に行く。それを3回繰り返すと両方とも1日休む。休むと順番を入れ替えてまた3回交互に狩りに出る。つまり7日に1回狩りに行かない日がある。この3回のローテーションの間の成果が悪かった時だけ7日目に父さんが狩りに行くんだ。


 後は、誰かが怪我したり病気したりで班のメンバーが1人でも欠けるとその班は狩りを休む。慣れたメンバーが1人でも欠けると何かあった時に困るからだ。


「そう考えると、チャンスはある……か。南には何もないから南から出ると疑われる。川の上流で訓練するとか言って敢えて北から出て村を回り込むように走って向かえば……」


『いいね。いいね。そうやって、建設的な案が出始めるってことはもう内心ではやる気になってるってことさ。リューマのスキルの関係上、残念ながらそんなに頻繁には森に行けない。交換に使うような生活系のスキルを再取得しなくちゃいけないからな』


 うまく森に行って魔物から冒険者として役に立つスキルを交換出来ても、こちらから交換に出せるスキルはそう多くない。せいぜい【掃除】【採取】【裁縫】くらい。スライムと交換した【再生】スキルが回復として使えそうなら【手当】まで使えるかもしれないけど、いずれリミと旅に出ることを思えば自分以外も【手当】できるスキルは残しておきたいかな……


『リューマの話じゃ、生活系のスキルの再取得に前回は1か月かかったって?』


「うん、1か月で取り直すのは結構大変だったけどね」


『問題はそこじゃない。1度目よりも2度目の方が遥かに速くスキルを取得出来たってところだ。これは大事なことなんだ。よく思い出してみろ。スキルを交換した後、無くなったスキルの知識は消えたか?』


「ううん。別に記憶が無くなる訳じゃないし、うまくその知識を活かせないだけだったよ。父さんと母さんの【剣術】と【槍術】を交換した時も父さん達の知識は無くならなかったから、僕への指導はスキルが無くても基礎の知識がある方が担当してたくらいだから」


 僕の回答に満足したのかぷるぷる率を増して震えるタツマ。意外と震え方からでも気持ちをなんとなく察することが出来る自分に驚きだ。


『やっぱりな……多分俺の推測だが、次に生活系スキルを再取得する時には再取得までの期間は更に短くなると思うぜ』


「え!……それが本当ならありがたいことだけど、どうしてそんなこと分かるの」


『いいかリューマ。物凄く使え無さそうなスキルや、チートスキルってのはだいたい何かのきっかけでバケる(・・・)んだよ。お前の持つ【技能交換】と【早熟】のコンボはチートスキルがバケるパターンだな』


 タツマは自信満々だけど僕はそこまで楽観的にはなれない。僕の厨2の知識にもそう言う話のものがあるけど、この世界で現実に生きてきた僕にはやっぱり物語の話に聞こえる。それに凄いスキルにはある程度の制約があるのはある意味当然だと思うから。


『信じられないか?まあいい。俺も推測だしな、やってみれば分かることさ。他にもいくつか可能性がありそうなことを思いついてるから少しずつ試して行こうぜ。もちろんすぐ結果がでるもんじゃないだろうし、最初は出来ないと思っても諦めない方向でな』


「分かったよ。確かに強くなるには魔物との【技能交換】が必要だと思うし、その流れの中でいろいろ試してみることは無駄にはならないと思うし強くなれる可能性があるならやれるだけのことはやるよ」


『よし!これはこれで楽しくなってきた。やっぱ異世界転移物はこうじゃないとな。まずはその森に行ける日の確認と持って行くものとかの準備だな』


メッセージの方に誤字脱字の報告をしてくださった方、御指摘ありがとうございました。少しずつ訂正させて頂きます。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ