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ちょっと短いです。


 ぶにょん  ふにょん  ぶるぶる  ぷるるるる 


 僕の目の前で薄緑色のスライムがぶにょぶにょと変形しながら飛び跳ねたり転がったりしている。本来のスライムからすればあり得ない動きの大きさだと思う。


 森の中とかで見つけるスライムは木の上とかで、あんまり動かずにじっとしていることが多い。まともな攻撃方法を持たない上に動きも早くないスライムは無駄に動き回って人間達や魔物の目に付いてしまったら面白半分に倒されてしまう未来しか見えない生き物だ。


『よ! は! と! う~ん。とりあえず思い通りに動けるからいいとするか。動きが遅いのも、攻撃方法が無いのも今更嘆いたって仕方ないしな』


「17歳だった割に達観してるね……」


『まあ、な。結局のところ一度死んだ身だしなぁ……どんな形であれ死にたくない以上は生きるしかないだろ』


 おお……なんだかよくわからないけど深い。この前向きな姿勢は是非見習いたい。タツマの何気ない一言にちょっと感動していると庭先からキンキンと打ち合う音が聞こえてくる。今日も休まずリミが母さんの訓練を受けに来たのだろう。


 訓練を始めてから約半年、リミは1日も訓練を休んだことはない。冒険者になりたいという思いが本物だということはリミの両親も既に認めているらしい。


 ただ、思いだけではどうにもならないのが冒険者という危険な職業な訳で……きちんと旅立ちまでに最低限の戦闘系スキルが身に付けられなかった場合はリミの両親は決して許可を出さないだろう。


 ただ、最近のリミの様子を見る限りはそんな心配はいらないと思う。槍も剣も大分使い慣れて来ていて動きが滑らかになって来ているからスキルとして発現するのは遠くないと思う。僕がスキルを覚えた時の状態とよく似てるから多分間違いない。


 そうするとリミが冒険者になるために旅立つ時って、僕が村を出る時と一緒になるんじゃないかなぁ。おじさんとおばさんもリミ1人で送り出すより、頼りなくても僕と一緒の方が安心だろうし。


 となると……リミが戦えるようになっているだろうとは言ってもいざという時は僕が守ってあげなきゃいけない。そのためにはやっぱり強くなっておく必要がある。


「ねぇタツマ。僕を強くするって、どうするの?この世界では14歳で成人だから早ければあと3年ちょっとで村を出ることになるからそれまでに少しでも強くなりたいんだけど」


『おぉ、そうだな。日々の訓練はまず今まで通りでいいと思うぞ。基礎体力とスキルに頼らない経験も必要だと思うからな』


 スライムがぶよんと変形する。


「それは分かる。今までもやってきたことだし、これからも続けるよ。でもそれだとリミをちゃんと守れるくらい強くなれるかどうか……」


『だろうな。だが、この世界にはスキルがある。スキル制の世界のいいところはスキルを得れば誰でもそれなりの力を得られることだ。そうだろ?』

 

 前に父さんに聞いた鍛冶師の例もあるように戦闘に役立つスキルを覚えることが出来れば早く強くなれると思う。僕はタツマに向かって頷く。


『で、リューマには【技能交換】っていうレアスキルがある。これを使わない手はない。問題はこのスキルを誰に、もしくは何に向かって使うかってことだ』


 タツマがぷるぷると震える。


『選択肢は2つ。1つは村人と交換する』


「それはダメだよ!【技能交換】は両親以外には言ってないんだ。世間に知られたら絶対に問題になるから秘密にするようにきつく言われてるんだ」


 それに、村の誰かのスキルを勝手に交換してしまうのは問題だと思う。みんな自分たちの持ってるスキルや能力を駆使してなんとか村の運営を賄っているのに急にそのスキルが他のスキルに置き換わったら村は立ち行かなくなっちゃう。


『秘密にしておくのは正解だな。こんな辺境のさらに辺境の村なんか目を付けられたらすぐに潰されるだろうからな。となれば後の選択肢は1つだ』


「うん」


『魔物と交換する』


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