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リューマ → 龍馬

 リミが僕の両親から訓練を受ける様になってから半年くらいが過ぎた。


 リミの上達が楽しいらしい両親は今や僕のことはほったらかしでリミに指導をしている。でもお父さん達の直接的な指導が減ったからと言ってそれで僕が稽古をさぼっているという訳じゃない。


 リミの気が散らないように同じ場所は避けてるけど、ちゃんと訓練の時間帯は自分で課題を設けて訓練はしている。ただ、その時間の使い方が今まで朝は槍、夕方は剣に全ての時間を使っていたのが半分位を【調教】とかの他のスキルの訓練に充てる日が増えて来た。


 今日もそんな感じで夕方の訓練を終えて、リミを家まで送ってから、夕食を食べて、身体を拭いてから部屋に戻った。


「今日も疲れたね、モフ」


『きゅん!』


 モフは頭が良いのでおトイレとかもちゃんと決められたところで出来るので、僕の部屋で寝泊まりしている。一応ベッドの脇にモフ用の布団が用意してあるんだけどいつの間にか僕の首筋辺りで丸まってるからあんあまり使ってないみたい。


 僕は布団に入ると、寝る前に日課になっている【調教】の練習をするために枕元に置いてあった瓶を手に取る。


 これは初めての狩りの時にお父さんが捕まえてくれたスライムで、未だに【調教】出来ないので僕の【調教】スキル上げに引き続き貢献してくれている。


 世話も楽ちんで二日おきくらいに少量の水と、残飯をちょっとあげれば大丈夫。手に取っても攻撃手段が無いから全然危なくないんだ。スライムはどんな大きなものでも捕食出来るらしいんだけど、相手が生きてるとまず成功しない。


 捕食の方法が触れた部分から徐々に全体を覆っていって、包み込めたら一気に捕食出来るみたいなんだけど、包み込んでいる最中に相手がちょっとでも動くと広げていた身体が元に戻って最初からやり直しになっちゃうんだ。だから生き物なら心臓が動いているだけでもう捕食されることはないんだって。


 死体なら捕食出来るみたいだけど、別に食べたいという欲求がある訳でもないから死体を探し回ることもないらしくて、大体その辺にある草とか石とか土を適当に捕食して生きている魔物がスライムなんだ。


 そうやって危険が無いと知ってて毎日こうして顔?を合わせているとスライムでも愛着が湧く。名前はいつか【調教】が成功した時につけようと思って付けてないけど、僕の中では既に家族の一員になりつつあるかなぁ。もっとも知能が低すぎてそんなことスライムは分かってないと思うけど。


 取りあえず、今日も眠くなるまでスライムに【調教】スキルを使ってから寝た。





『よっしょあぁぁ!これが異世界転生かぁ!まずはとにかく情報確認だよな』


 う、うん…なんかうるさいな。


『っと、まだ身体が動かないな。元々の身体の持ち主への転生がちゃんと出来てないのか?ん?……上書き中?これが終わってないのか』


 ん?……なんだろう。あ、あたまがい……いた、い。


『とりあえずちゃんと転生終わったら、まずは記憶喪失を装って環境を把握するだろ、ステータス確認してチートがあるかどうか確認して、それを使ってどうやって最強目指すか考えないとなぁ。くぅー燃えるなぁ。マジで居眠りトラックとかおいしいアイテムだよな。まあわざと轢かれるのはダメっぽいけど』


 ぐ……やめろ!僕の頭の中で……訳の分からないことを、言うな!


『お?こいつ、結構抵抗力あるなぁ。でももう入っちゃってる以上は時間の問題でしょ。転生物としてはいきなり抵抗されるとか珍しいけど、中での力関係完全に俺のが上だし。この辺はやっぱり精神的な成長度の違いってやつですかね。俺ってばもうすぐ18だし、こいつはどう見繕っても10歳前後っしょ。年季が違うってやつ?』


 なんだ……なんだ……やばい、やばい。僕が……消える。もしかしたらこれって何かの状態異常なのか?か、鑑定を……


名前: リューマ

状態: 魂の上書き中……

LV: 8  

称号: わらしべ初心者

年齢: 10歳

種族: 人族

技能: 剣術2 槍術2 統率1 隠密2 木工2  料理1 手当1 解体1 調教2 掃除2 採取1 裁縫1

特殊技能: 鑑定 須崎龍馬の魂(上書き中……)

固有技能: 技能交換(スキルトレード)

才覚: 早熟  目利き 


 なんだ?なんだこれ!……がぁ!頭が……割れる!イタイイタイイタイ!く、くそ!僕は……僕がリューマだ!お前なんかに負けてたまるか!


『ムダムダ、お前の魂じゃ今の俺には敵わないって。別に身体が死ぬわけじゃないしさ、もしかしたらお前の意識も残るかもしれないじゃん。そしたら仲良くやろうぜ』


 うるさいうるさい!おまえの魂がそこに表示されている以上……きっと!


 僕は痛む頭に朦朧としながら、眠る寸前まで持っていたあるものを探す。


 どこだ……どこだ!いつもはこの辺に……あ!あった!この冷たい感覚、間違いない。


 僕は見つけたスライムの瓶を開けると、躊躇いなく指を突っ込んだ。このスライムが唯一持っていたもの……


 うまく行ってくれ!


技能交換(スキルトレード)

 対象指定 「再生1」 

 交換指定 「須崎龍馬の魂」

【成功】


 や、やった!……


『な!なんだってぇぇぇぇぇl!なんだそれぇ!』


 極度の疲労感に襲われ目の前が暗くなってくる……頭の痛みは治まっている。多分、なんとかなったはず……()は震える手でスライムの瓶にかろうじて蓋をすると、どこか遠くから聞こえてくる誰かの悲痛な叫びを聞きながら意識を手放した。



今回のわらしべ

『 須崎龍馬の魂 → 再生1 』


やっとここまで投稿。たまには転生される側が転生者を拒否してもいいですよね。

ブクマ、評価、感想、レビュー等お待ちしてます。

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