表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニベルの右手 -忌まわしき女神の使命-  作者: 蓮見ななこ
アレス島からの旅立ち
4/207

4.攻撃魔法

 「……すげぇ。」


 思わず声が漏れるほど、彼女は強かった。


 この森の中には魔物がいる。

 ごく稀に人里へと降りては農作物を荒らしたりするが、人を襲うことなどほぼ無かった。

 護身用の武器を持っていれば、有に倒すことが出来るのだ。


 レンジは、オリバに武術を幼いころから叩き込まれていた。

 シアードのように剣を振るうことは苦手であったが、彼の素早い動きから繰り出される拳や蹴りは、護身用の武器などまるで必要としなかった。

 武器を持たずして魔物が倒せるというのが彼の自慢であったが、目の前の彼女がそれを打ち砕く。

 何かを呟いたかと思うと、両手から火の玉が現れた。

 そして彼女は、自分の倍以上はある熊型の魔物「ベア」に火の玉を投げつけた。

 拳や蹴りで気絶させ、時には毛皮や食糧として持ち帰る。

 ベアが衝撃によって倒れる姿は幾度となく見てきたが、背と尻尾を向けて逃げ出す姿など、彼は生まれてこの方見たことがなかった。


「ハープ、すげえよ!

 俺、魔法なんて初めて見たよ!」


 興奮が冷めやらぬまま彼女に話しかけ、困惑を誘う。


「そ、そうなの?

 私の国ではみんな魔法が使えるよ。

 さっきの魔法はほんとに初歩的な魔法だから、全然すごくないんだよ。

 でも、嬉しいな。

 レンジは魔法を見るのは初めて?」


「うん、ん?

 いや……そういえば、セレスって奴がいてさ、怪我をしたときに魔法で治してくれるんだ。

 でも、さっきみてぇな攻撃の魔法なんて初めてだよ!」


「へぇ、珍しいね。

 治癒の魔法なんて、エルフくらいしか使えないはずなのに。」


「エルフって……。

 アイツはそんな可愛いモンじゃねぇよ。」


 今日一番の機嫌を損ねてきた、気の強い少女の顔が浮かんだレンジは、苦虫を噛み潰したような表情をする。

 それを横で見ていた彼女は、くすくすと笑うのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ