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まっすぐすぎる言葉は、時に刃へと変わる。
それは、美海が春から通っている小学校で起こったことだった。
いつも通りに友達と仲良く遊んでいると、急にこのようなことを言われたのだ。
「みうちゃんのお洋服って、男の子が着るやつみたいだね」
「え、そうかな……?」
「うん。もしかして、おにいちゃんのお下がり? いっつも大きいの着てるし」
「うん、おにいちゃんの……」
「あんまり、髪の毛結んだりもしないよね。たまにはすればいいのに。」
「そ、そうだね……」
それは、同じクラスの女子たちの発言だった。
決して、美海を貶めようとしたのではない。
彼女たちは、幼さ故に思ったことを口に出してしまっただけである。
しかしこの言葉は、美海の心に大きな影を落とすことになってしまった。