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涙の理由を教えて
「美海ちゃん、どれがいい?」
「チョコといちご……」
「わかった! すんませーん! ダブルで、チョコと苺お願いします!」
颯はアイスクリームを受け取ると、美海の手を引きながらベンチに座る。
アイスを手渡された彼女は、スプーンを使ってそれを食べ始めた。
「……おいしーい!!」
「よかったな!」
「はやてにいは食べないの?」
「……自分の分はすっかり忘れてたぜ!」
「もう、仕方ないなあ。はい、みうの少しあげるよ」
「ありがとな!」
「はい、あーん!」
「あーん!」
なんとも微笑ましい光景である。
二人は、一つのアイスクリームを仲良く分け合って食べた。
「おいしかったー!!」
「うまかったー!!」
「はやてにい、ありがと!」
「こんなんで美海ちゃんが笑顔になってくれるなら、安いもんだぜ!」
颯の太陽のような笑顔を見て、安心したのだろう。
「あのね、実は……」
美海は自分から口を開き、一人であの場所にいた理由を話し始めた。