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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第八話 ローズマリーが奏でる音
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再び、輝き出す

(そう、ここはリタルダントをかけることによって、ロマンチックに聴こえるんだ。次にクレッシェンドで……)


 虹太の指は、自然と膝の上で動いていた。

 それは、最近ピアノから離れていたとは思えないほど流麗な動きだった。


(どうして俺の前には、鍵盤がないだろう……)


 そう考えたことにより、彼は気付くことになる。

 今まで封じ込めていた、自分の本当の気持ちに。


(ピアノが、弾きたい……!)


 一度そう思ってしまえば、溢れ出した気持ちは止まらない。

 ピアノを弾きたいという欲求に駆られ、どうしようもなくなる。


(……もう、昔みたいには弾けないだろうなぁ。散々サボっちゃった上に、あんなこともあったし……)


 虹太は、自分がピアノを辞めるきっかけとなった出来事を思い出した。

 だが、彼の瞳には光が宿っていた。

 それは、過去の闇など振り払えるくらい大きいものに違いない。


(別に、昔みたいに弾けるようになる必要なんてない。俺はやっぱり、ピアノが好きなんだ。……ううん、ピアノだけじゃない。音楽を愛してる。だから弾きたい。それで充分だよね)


 虹太は涙を力強く拭うと、再び奏太の演奏に集中する。

 彼は、なんとも清々しく、幸福そうな表情をしていたのだった――――――――――。

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