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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第一話 桜舞う日に
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迷子の女の子

「うわーん! パパ、どこー!」


 一方こちらでは、父親とはぐれてしまった少女が、泣きながら父親を探していた。


「どうしたの……?」

「もしかして迷子!?」


 それに気付いた心と颯が、少女に声をかける。


「うん、ぐすっ……。パパとはぐれちゃったの……」

「大丈夫! 俺たちと一緒に、君のパパを探そう!」

「おにいちゃん、ほんと……?」

「おう! 絶対に君のパパを見つけるって約束する! なっ、心!」

「うん。僕、毎日のように迷子になってた迷子のエキスパートだから任せて……」

「それは頼もしい!」


 こうして二人は、少女の父親を探すことになった。


「高い目線で探すのがいいんだろうけど……」

「……肩車は、ちょっと危ないよね」

「そうだよなぁ~……」

「あっ」


 心が何か閃いたようだ。


「心、どうした?」

「こうして、ここに乗ってもらえば……」


 二人は騎馬戦のように騎馬を組み、その上に少女を乗せることにした。

 こうすれば、少女の目線も高くなり、二人で一人分の重みを支えればいいので安全だ。


「よっし、行くぞー!」

「おー」

「きゃー、たかーい!」


 三人の、父親捜しの旅がはじまった。

 少女を不安にさせないように、色々なことを話しながら歩く。


「じゃあ今日は、パパとママと一緒に来たんだ!」

「うん! あっ、パパだ! パパー!」

「………………………………!!」


 少女の発した声に、一人の男性が駆け寄って来る。

 どうやら、少女の父親のようだ。

 心と颯が少女を地面に下ろすと、少女もその男性に駆け寄り、二人は強く抱き合った。


「パパ、いたいよー」

「一人にしてごめんな……! 怖かっただろう?」

「ううん! おにいちゃんたちがいっしょにいてくれたから、ぜんぜんこわくなかったよ!」


 この言葉に、父親の視線が心と颯に向いた。


「娘を助けていただき、本当にありがとうございます!」


 そして、深々と頭を下げる。


「頭を上げてください! 俺たち、ただ一緒にいただけっすから!」

「……もう迷子にならないように、お父さんの手、離しちゃだめだよ」

「うん! おにいちゃんたち、ありがとう!」


 父親は何度も振り返って頭を下げながら、少女はその父親の手をしっかりと握り、もう片方の手を大きく振りながら去って行った。


「見つかってよかったな!」

「……うん、そうだね」

「……くぅーん」


 その鳴き声に二人が足元に視線を向けると、そこには犬が一匹おり、二人の方を見上げていた。


「……こいつも迷子か!?」

「……そうみたい。飼い主、見つけてあげないと」


 二人の人探しの旅は、まだまだ続きそうだ。

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