二つの想定外
※皆様、お久しぶりです。
久しぶりの更新は、蒼一朗さん視点のお話になります。
「おい、颯……!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!!」
「そこまで謝ることじゃないだろ! 顔上げろよ……!」
「許してください許してください許してください……!!」
俺がいくら止めようとしても、颯は謝ることをやめない。
……これって、ちょっと普通の反応じゃねえよな?
体は震えてるし、まるで俺の声なんて聞こえてないみたいだ……。
(くそっ……! 一体どうすりゃいいんだ……!?)
ここで俺は、一つの可能性に辿り着いた。
俺じゃなくて、別の奴の声なら届くんじゃないか……?
こいつが誰よりも慕ってる、恩人のあいつの声なら……。
「……おい、颯。隊長の部屋まで行くぞ」
「ひいっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」
「大丈夫だって! お前が嫌なことなんてしねえよ!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!!」
颯を立ち上がらせようとしたが、無理みてえだな……。
自分を守るように、更に体を丸めちまった……。
そんな時、俺の耳に望んでいた声が飛び込んできたんだ。
都合が良すぎる展開だったけど、正直感謝したぜ。
「……誰かいるの?」
錯乱してる颯の声は、かなりデカかったからな。
四階のあいつの部屋まで、きっと聞こえたんだと思う。
……俺があいつを呼ぼうとした時に、予想外の出来事が二つ起きる。
「ひっ……!!!」
一つは、あいつの声を聞いた瞬間に、颯が勢いよく走りだしてしまったこと。
もう一つは……。
「あっ……!」
俺の頭上から、聞いたこともないような控えめな悲鳴が降ってきたことだ――――――――――。
本日からまた、まったりペースにはなりますが更新を再開していこうと思います。
詳しくは、活動報告をご覧ください。