様子のおかしいあいつとこいつ
※蒼一朗さん視点のお話です。
……最近、なんとなく様子のおかしい奴らがいる。
一人目は、俺らの隊長でありこの家の主でもある女だ。
「もしかして、お口に合わなかったでしょうか……?」
「……違うよ、ハルくん。ごめんね、最近なんだか食欲がなくて……」
いつも通りに振る舞ってはいるけど、どこか元気がない。
飯も残すことが多くなったし、外出が必要な任務を避けることが増えた。
……いや、それだけじゃねえんだ。
「……っしゃ!!」
「はあ、はあ……。遂に、負けちゃったか……」
俺はこの間、初めてこいつに短距離走で勝った。
だけど、想像してたような喜びは湧いてこなくて……。
……だってよ、何かが違うんだ。
手を抜いたような素振りは、絶対になかった。
ずっと一緒に走ってたんだから、それは確信を持って言える。
だけど、あの日のあいつはまるで別人みたいな走りだったんだ。
その日以来、走りに誘っても何かと理由をつけて断られるしよ。
こいつの背中が小さく見えるようになったのは、俺の気のせいなのか……?
実際よりも大きく感じてただけで、元々こんなに華奢だったのか……?
……誰に聞いても答えが返ってくることはないって、わかってんだ。
だから俺は、どこかモヤモヤとした感情を抱えながら日々を過ごしてる。
……まあ、単純にあの日は調子が悪かっただけかもしれねえしな。
明らかに元気がないように見えるけど、隊長としてやらなきゃならない仕事はしっかりこなしてるみたいだし、今すぐに倒れそうってわけでもないし。
……こいつよりヤバい奴が、俺の隣で飯を食ってる。
「……おい、颯、平気か? お前が天ぷら突っ込んでるそれ、味噌汁だけど……」
「………………………………おわっ! マジだ! ヤベ、気付かなかった……」
様子のおかしい奴、二人目はこいつ、緒方颯だ。
いつもは声がデカくて、とにかく元気な奴なんだけどよ……。
最近は眠れないらしく、隈がどんどん濃くなっていってるんだよな……。
皆様、お久しぶりです。
本日より、また更新していこうと思います。
詳しくは活動報告にて書きますので、そちらも目を通していただけるとありがたいです。