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どちらだとしても、変わらないもの。
写真を撮った翌日、心は早朝に目を覚ました。
隣に目を向けてみると、そこには銀色の毛玉がすやすやと眠っている。
ここ数日で見慣れた少年の姿は、もうどこにもなかった。
心はぱかおの毛に顔を埋めると、その心地よさを充分に堪能する。
そして、声には出さずに彼に話しかけ始めた。
(……おかえり。どっちの姿でもぱかおのことは大好きだけど、やっぱり僕はこっちの方がいいかな……。おしゃべりできる時間が減っちゃって、少し寂しかったんだよ……。今日からまた、たくさんしゃべろうね……。僕は、君の……)
心の意識は、静かに、ゆっくりと夢の世界へと落ちていく。
心は、銀色のふわふわとした髪の毛を持つ少年と出逢った。
彼は心と同じくらいの身長で、同じ高校の制服を着ている。
どうやらこれから、一緒に部活に向かうところのようだ。
相棒という関係ではないのかもしれないが、姿かたちが変わっても、お互いが大切な存在だというのは変えようのない事実なのだろう。
夢の中で彼の隣を歩く心も、現実で彼の隣で眠る心も、とても幸せそうに微笑んでいるのだから――――――――――。