吹き飛ばされそうになりながらも、頑張ったんです。
「おっ! ピアノが置いてあるぞ!」
「音楽室だからね……。みんなで歌を歌ったり、楽器を演奏したりするんだ……」
二人が最初に訪れたのは、音楽室だった。
ぱかおは興味深そうに、辺りをキョロキョロと見回している。
「そういえば、シンの歌って聴いたことない気がする!」
「僕は、大きな声を出すのが苦手だから……。歌うのも、得意じゃない……」
「そうなのか! ハヤテはどうなんだ?」
「颯くんは、とっても大きな声で堂々と歌うんだよ。音程を外して先生に注意されることもあるけど、あんな風に歌えたら気持ちいいだろうな……」
「その姿、想像がつくぞ! ハヤテらしいなー!」
心とぱかおが次に訪れたのは、食堂である。
ガランとした食堂はどこか不気味にも思えるが、二人には関係ないようだ。
「ここは、食堂……。お昼休みに、ご飯を買って食べれる場所だよ……」
「うちよりでっかいテーブルがたくさんある! こんなに人数がいるのか!?」
「うん……。僕は晴久さんのお弁当があるからあんまり来ないけど、いつもすごく混んでるんだって……。毎日、戦争みたいだってクラスの子が言ってた……」
「戦争!? それは穏やかじゃない言葉だ……!!」
「ここは、普通のご飯だけじゃなくて焼きたてのパンも売ってるんだよ……。特に、クリームパンが一番人気なんだ……。生地はふわふわもちもちで、とろとろのクリームがたっぷり入ってて……。考えるだけで、お腹が空いてきた……」
「じゅる……。オ、オレも涎が出てきたぞ……!」
「……実は、ぱかおと一緒に食べたいと思ってそのクリームパンを買ってあるんだ。教室に置いてあるから、後で一緒に食べよう……?」
「そうなのか!? やったー! でもさっき、ここは戦争みたいだって……」
「……へへへ、僕、生き残ったよ。すごいでしょ……?」
「シン、すごいぞ! さすがはオレの相棒だ! ありがとな!」
「……どういたしまして。じゃあ、次の場所に行こうか」
心とぱかおはそれからも、図書室や美術室など様々な場所を回った。
そして最後に、心が毎日通う教室を訪れたのだった――――――――――。