表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十五話
760/780

君の笑顔は着火剤

「ここが、弓道場だよ……」

「すごいな! こういう雰囲気を、オゴソカって言うんだろ!」

「よく、そんな難しい言葉を知ってるね……」

「へへへっ! 伊達にトウカやシュウヘイに付いて回ってないぜ!」


 心が竹彪に掛け合ってから二日後の夕方に、ぱかおは高校を訪れていた。

 既に部活は終わっている時間で、校舎の中にもほとんど人は残っていない。


(話には聞いてたけど、本当に明るくて元気な子なんだなー。そんなに深い事情がありそうなタイプには見えないけど、まあ、こういう思い込みはよくないか)


 心とぱかおが射場で話しているのを見ながら、竹彪はそんなこと考えていた。

 さすがに弓道場に二人きりには出来ないため、付き添っているのだ。


「早くシンがキュウドウしてるところを見たいぞ!」

「ちょっと待ってね……。先生、矢を射ってもいいですか……?」

「おー、好きにやっていいぞ。怪我だけはしないでくれると助かる」

「わかりました……。ぱかお、少し離れて見ててくれる……?」

「おう! 楽しみだー!!」


 ぱかおが自分から離れたのを確認してから、心は姿勢を整える。

 そして弓に矢をかけ、まずは視線で的の中心を射った。

 その後、彼の手から放たれた矢は的へと真っ直ぐに飛んでいく。


「……おお! すごい! 的に刺さったぞ!」

「……こんなものかな。もっと、真ん中に射る予定だったんだけど……」


 心の矢は、的の中心よりも少し離れた場所に刺さっていた。

 これでも充分に凄いことなのだが、納得がいかないようだ。

 せっかくならば、もっとかっこいいところをぱかおに見せたかったのだろう。


「的に刺さるだけでもすごいと思うけど、もっと真ん中にいくのか!?」

「いつもってわけじゃないけど、できたことはあるよ……」

「そうなのか! 見てみたいぞ!」

「………………………………!! わかった、やってみる……」


 ぱかおの無邪気な笑顔が、心の闘志に火を点けたようだ。

 こうして、心の挑戦が始まったのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ