みんなの大好きが詰まってるんだ!
「ヤマトとミウと遊びたいぞ!」
「………………………………♪」
「うん、あそぼう! 何する? かくれんぼ? おにごっこ?」
「それも楽しいけど、動物のオレでもできるからな! 今日は、ニンゲンじゃないとできない遊びがしたいぞ! ヤマト、ミウ、教えてくれ!!」
「(けんだまは?)」
「けんだまいいね! あと、あやとりとかおりがみもたのしいと思う!」
「よし! じゃあ、それぜーんぶやろうぜ!!」
こうして三人は、ぱかおが動物だとできない方法で遊び始めた。
ぱかおはあまり器用な方ではなく、けん玉もあやとりも大分苦戦したようだ。
だが、楽しそうに遊ぶ彼の表情は眩しいものだった。
「つぎはおりがみだね!」
「この指があれば、なんでも作れそうだ!」
「………………………………!!」
張り切る美海とぱかおのに、大和が一冊の本を見せる。
その本の表紙には、“おりがみで作るお弁当”という文字が書かれていた。
これを一緒にやらないかと、大和は誘っているのだろう。
その本を見た美海とぱかおは、瞳をキラキラと輝かせる。
「たのしそう! ぱかお、これつくらない!?」
「すごい! 本物みたいだ! 作りたいぞ!」
「………………………………♪♪」
こうして三人は、折り紙で弁当を作ることにした。
本をパラパラと捲りながら、何を作るかを相談していく。
「二人は、なにを入れたい? みうはハンバーグ!」
「オレはおにぎりだな!」
「(ういんなーとか、たまごやきかなあ)」
「ぜんぶ入れよう! あっ、けいとをつかってスパゲッティとかどうかな!?」
「すごいアイデアだな! さすがミウだ!」
「(いいとおもう! はるひさおにいちゃんにけいともらってこよう!)」
「どうせなら、みんなが好きなものも作ってでっかい弁当にしないか!? リクが好きなイチゴとか、トウカが好きなチョコとか……。チョコは変か……?」
「へんじゃないよ! おりがみでつくるんだから、なんでもありだと思う!」
「(ぼくもさんせい! たのしそう!)」
三人は協力しながら、弁当に詰めるおかずを作っていく。
透花が好きなチョコレートに、梅干しが入ったおにぎり。
柊平が好きなだし巻き卵に、鮭が入ったおにぎり。
蒼一朗が好きなフライドチキンに、肉巻きおにぎり。
心が好きなえびフライに、たくさんの具が入った大きなばくだんおにぎり。
颯が好きなからあげに、ツナマヨが入ったおにぎり。
虹太が好きな麻婆豆腐に、辛子明太子が入ったおにぎり。
湊人が好きなコロッケに、ベーコンとレタスとトマトが入ったサンドイッチ。
晴久が好きな筑前煮に、昆布が入ったおにぎり。
理玖が好きなきんぴらごぼうに、苺などの果物を挟んだフルーツサンド。
美海が好きなハンバーグに、ナポリタン。
大和が好きなウインナーに、いなり寿司。
ぱかおが好きなうさぎりんごに、蜂蜜をかけたホットケーキ。
その他にも、ミニトマトやレタス、ポテトサラダなど様々な物を作った。
「できたー!!」
「すごいぞ! これはダイケッサクだ!」
「………………………………!!」
晴久から借りてきたバスケットに出来上がった折り紙を入れて、完成である。
色とりどりのおかずたちが詰められたそれは、まるで宝箱のようだ。
「じょうずにできたね!」
「………………………………♪」
「おう! 見てたら、なんだか腹が減ってきたぞ!」
ここで、タイミングよくぱかおの腹の虫が鳴った。
工作に夢中で気付かなかったが、そろそろ食事時のようだ。
「ごはんたべにいこっか! あっ、これみんなにみせよう!」
「そうだな! きっとみんな、びっくりするぞ!」
「………………………………☆」
一番体の大きなぱかおがバスケットを持つと、三人は部屋を出て行く。
この作品を元に晴久がみんなの好物が入ったなんでもありの弁当を作ってくれるのは、そう遠い日のことではないのかもしれない――――――――――。