そんなにヤワじゃないから安心してくれよ!
「トウカに膝枕をしたいぞ!」
「ぱかおがされるんじゃなくて、膝を貸してくれるってこと?」
「おう! そうだ!」
ぱかおから透花への要望は、“自分が膝枕をすること”だった。
現在、透花はぱかおの膝に頭を置き、ソファに横になっている。
「ぱかお、重くない?」
「平気だ! 透花の髪は気持ちいいなー! さらさらだ!」
「ふふふ、いつも私がやっていることをされるのって、なんだか恥ずかしいね」
ぱかおは、透花の頭を優しく撫でている。
それは、透花にとって新鮮な気持ちよさだった。
誰かに頭を撫でられることなど、いつ以来だろうか。
「トウカは、いっつもオレのことを優しく撫でてくれるだろ? オレだけじゃなくて、ヤマトにミウ、シンやハヤテなんかも撫でてるよな! でも、トウカを撫でる人は一人もいないから、ずっと撫でてみたいと思ってたんだ!」
「そうだったんだ。それで膝枕なんだね」
「うん! 今日はオレにどーんと甘えてくれ!」
「ふふふ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
膝枕をしたまま、二人は言葉を交わしていく。
髪に触れる手の心地よさに、透花は徐々に意識が微睡んでいくのを感じた。
「トウカ、眠いのか? 眠いなら、このまま寝ていいんだぞ!」
「でも、ぱかおの足が痺れちゃうでしょう……?」
「大丈夫だ! さっき、オレに甘えるって言っただろ? 遠慮すんな!」
「確かに、言ったけれど……」
「オレ、トウカはもっとみんなに甘えてもいいと思う! みんなきっと、自分が甘やかされるだけじゃなくてトウカに優しくしたいって思ってるはずだ! トウカはすごいヤツだけど、ちょっと一人で頑張りすぎにも見えるぞ!」
「そう、なのかな……?」
「そうだ! みんな、トウカに頼られたくらいでぺちゃんこになるほどヤワじゃない! 特にシンなんてめちゃくちゃ頑丈だ! 頼ってやってくれ!」
「……うん、そうだね。ありがとう、ぱかお……」
そう言った透花の目尻から、透明な雫が一滴流れ落ちる。
彼女は安らかな表情で、そのまま眠りに落ちてしまった。
ぱかおは透花の涙を優しく拭うと、再び頭を撫で始める。
そうしている内に、彼もいつの間にか寝てしまったようだ。
足が痺れて動けないぱかおを背負った透花が皆の前に現れるのは、数時間後の話である――――――――――。