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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十五話
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足が長いのも素晴らしい!

「すごくにぎやかな場所だな! 目も耳も忙しいぞ!」

「……ああ、そうだな。目的の物はこっちだ。早く行くぞ」

「シュウヘイ、待ってくれ! オレ、あれもやってみたい!」

「……後にしろ。そんなに焦らなくても、あれらは逃げたりしない」


 柊平とぱかおは現在、二人でゲームセンターに来ている。

 きっかけは、ぱかおの“車の運転がしてみたい”という要望だった。


「クルマの運転がしてみたいぞ!」

「……却下だ」

「クルマがダメならヘリでもいい!」

「……それも、却下だ」

「なんでだ!? オレ、今なら足が長いからちゃんとブレーキ踏めるのに!」

「……車やヘリの運転には、免許というものが必要になるんだ」

「メンキョ? それはどこで手に入るんだ?」

「……一定期間、そのための学校に通わなければ取得できない」

「そうなのか!? どれくらい時間があるかわかんないオレには無理だな……」


 柊平が正論を諭すと、ぱかおはすっかり落ち込んでしまった。

 だが、秩序を重んじる男である柊平はこう言うしかないのだ。


「じゃあ、二人でゲーセン行ってくれば~?」

「ゲーセン? 不思議な名前の場所だな! そこならウンテンできるのか!?」

「本物じゃなくてゲームだけどね~。でも、ハンドルを握ったりブレーキを踏んだりはできるよ。本物と違って免許もいらないし、安全に遊べちゃう☆」

「シュウヘイ、オレをゲーセンに連れて行ってくれ!!」


 そんな二人に声をかけたのが、虹太だった。

 柊平は、ゲームセンターのように騒々しい場所は苦手だ。

 だが、ぱかおのおねだり攻撃に負けてここまで足を運んだのだ。


「対戦! シュウヘイ、対戦しよう!」

「……私は構わないが大丈夫なのか? お前は、ゲームも運転も初心者だろう」

「シュウヘイがウンテンするのをたくさん見たから平気だ! それに、これはゲームだからな! 負けても痛くないし、楽しければいいんだ!」

「……わかった。では、始めるか」


 二人はレースゲームの運転席に座ると、早速対戦を開始した。

 ぱかおだけではなく、柊平もゲームで運転をするのは初めてだ。

 だが、元々運転が上手いこともありすぐにコツを掴んだようだ。

 悠然と障害物を避けながら、ぱかおやNPCの車を抜き去っていく。

 一回目の勝負は、柊平の圧倒的勝利に終わった。


「負けた! シュウヘイ、すごいな! もう一回やりたいぞ!」

「……構わない。何度でも受けて立とう」


 それから二回、三回と続けるも、ぱかおが勝つことはなかった。

 車が関わっているので、柊平もわざと手を緩めたりはしないようだ。

 その後も何回か勝負をしたが、結果は柊平の全勝だった。

 だが、念願の運転を体験できたぱかおはとても楽しそうである。


「勝てなかったけど面白かったぞ! ウンテンって楽しいな!」

「……ああ、そうだな」

「次はあれで遊んでみたい! シャシンが撮れるのか?」

「……いや、待て。あそこは男だけでは入れないんだ」

「そうなのか! じゃあ、あれ! あのお菓子をシンにプレゼントするんだ!」

「……わかった。好きなだけ遊ぶといい」


 その後、二人は二時間ほどゲームセンターで遊んだ。


「楽しかったな! ニンゲンでいられる内に、もう一回くらい来たいぞ!」

「……楽しめたならよかった。……だが、私は遠慮するので次は椎名を誘ってくれ。あいつならば、こういう場所にも慣れているだろう……」


 帰路に着いても、まだ遊び足りないという様子でぱかおは目を輝かせている。

 反対に柊平は、慣れない場所で活動したせいですっかり疲れ切っていたのだった――――――――――。

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