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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十五話
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草のせいじゃなくて

「……君が食べたのって、もしかしてこの草?」

「おう! そうだ! リク、よくわかったな!」


 理玖が持っている草を見たぱかおは、大きく頷く。

 理玖はポーカーフェイスを装いながらも、力なく椅子に座り込んだ。


「この草、動物を人間に変える力があるってことっすよね!?」

「もしそうだとしたら、大発見じゃ~ん☆」

「ふふふ、これを使って一儲けできそうですね」

「お前、ほんとぶれねえよな……」

「……まさか、そんな草が敷地内に生えているとは思わなかったな」

「森の奥なんて、滅多に行く場所じゃありませんからね」

「森の中は、静かでよく眠れるよ……。涼しいし、暗いし……」

「もっといろんな草が生えてるかも! やまとくん、後でさがしにいこう!」

「………………………………!!」

「楽しそうだね。私も一緒に行こうかな」


 皆が盛り上がっている中、理玖は静かに狼狽していた。

 その様子に最初に気付いたのは、透花である。

 夏でもほとんど汗をかかない理玖の額に、冷や汗が浮かんでいるのだ。


「理玖、どうしたの? 体調でも悪い?」

「いや……」


 理玖は溜め息を吐いてから、何かを決心したように口を開いた。


「……君が食べた草は、少し濡れていなかった?」

「おう! 濡れてたぞ! 周りの草はそんなことないのに、俺が食べたやつだけ濡れてた! いい匂いがしたのは、その草だけだったな!」

「彼が人間になったのはその草のせいじゃなくて、僕の作った薬のせいだ……」


 理玖は誰とも視線を合わせずに、ぽつりとそう呟いた。

 それほど大きな声ではなかったにも関わらず、その言葉は皆の耳までしっかりと届いたのだった――――――――――。

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