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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十五話
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森の奥の不思議な草

「ぱかお、今はにんげんなんだから手づかみでたべちゃダメだよ!」

「そんなこと言われても、ハシ使えない……」

「………………………………♪」

「スプーンだ! ヤマトありがとな!」


 皆の気持ちを落ち着けるために、まずは全員で朝食をとることなった。

 現状をいち早く理解したのは、考えが柔軟な美海と大和である。

 身体こそぱかおの方が大きいが、弟ができたような気分なのだろう。

 両隣に座り、甲斐甲斐しく食事の世話を焼いている。

 心もいつもと変わらず、黙々と食事を頬張っていた。

 そんな光景を見ながら、大人たちは状況を整理していく。


「ぱかお、人間になったことに何か心当たりはない?」


 そんな中、口火を切ったのは透花だった。

 ぱかおはもぐもぐと口を動かしながらも、懸命に考えている様子だ。

 自慢の毛を失ってしまったことは、彼にとっても由々しき事態なのだろう。


「うーん、なんだろうな……」

「昨日、何かいつもと違ったことをしなかった?」

「あっ、それならいつもは行かないような森の奥の草を食べたぞ!」

「森の奥の、草……?」


 ぱかおの声に反応したのは、少し離れた席に座る理玖だった。


「おう! コウタが帰ってきた後に、鍵が閉まってないことに気付いたんだ!」

「ぱかお、ごめんね~。ありがと☆」

「気にすんな! 失敗は誰にでもあるからな! それで、代わりに閉めようと思って玄関に近付いたら、外からいつもと違うニオイがしたんだ! なんだろうって思ってそのニオイを辿ったら、森の奥に着いたんだぞ! それで、そのニオイがする草を食べてみた! 昨日したのは、それくらいだな!」

「まさか……」


 理玖は小さな声でそう言うと、箸を置き立ち上がった。

 そして、元々白い顔を更に青白くさせ、ダイニングを出て行く。


「何か心当たりでもあったのかな。あの様子だと、すぐに戻ってくると思う。みんなは心配しないで食事を続けていて大丈夫だよ」


 透花の言葉通り、二十分ほどしたところで理玖は戻ってきた。

 その手に、とある草を携えて――――――――――。

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