鏡の中のお前は誰だ!
「ぱかお、寒くないの……?」
「言われてみれば、なんかそんな気もするな! もう春なのに変だなー!」
「とりあえず、これ着て……」
心はそう言うと、箪笥から下着と部屋着を取り出し少年へと渡す。
彼はそれを、きょとんとした表情で見ていた。
「なんでシンの服なんだ? オレの服があるだろ? 洗濯中か?」
「いつもの服は、着れないと思うけど……」
「????????????」
心は少年の手を引き、クローゼットに付いている鏡まで案内した。
「見てみて……」
「?? !?!? お、お前は誰だ!? シン、知らないヤツがいる!」
「そこに映ってるのが、今のぱかおみたいだよ……」
「!?!?!?!?!?!? こ、これがオレ!? なんでオレ、ニンゲンになってんだ!? オレの自慢の毛がない! ない!! どういうことだ!?!?」
「どうしてかは、僕にもわからないけど……」
謎の少年、改めぱかおは鏡を見ながら自分の顔や体をペタペタと触っている。
透花は美海を抱き上げたまま部屋に入ると、心に声をかけた。
「心くん、おはよう」
「透花さん、おはよう……」
「……えーっと、その子はぱかおで間違いないんだよね?」
「………………………………? うん、そうだよ。どこからどう見ても、ぱかおだよね……? 見た目はいつもと違うけど、声や匂いは変わらないし……」
この言葉を聞き、隊員たちは言葉には出さずにツッコミを入れた。
――――――――――――声も匂いも、心にしかわからないものだと。
こうして、突然アルパカではなくなってしまったぱかおの不思議な人間生活が幕を開けたのだった。