相棒だから、ちゃんとわかるよ。
皆が謎の少年を追い掛けると、心の部屋から美海が出てきた。
美海はパニック状態といった様子で、目からは涙が零れている。
「し、しらない男の子がきゅうにへやに入ってきた……!」
「……美海ちゃん、ごめん。怖かったよね」
透花は美海を宥めながら、小さな体を優しく抱き締めた。
彼女をひょいと抱き上げると、安心させるように言葉を紡ぐ。
「でも、大丈夫。あの子はきっと、美海ちゃんもよく知っている子だよ」
「みう、あんな子しらないよ……」
「そうだね。私たちも、あの姿の彼は知らない。でも……」
透花が、心の部屋の扉を静かに開ける。
そこには、少年が眠っている心に馬乗りになっている光景が広がっていた。
「シン! 起きてくれよ、シン!」
「んー……」
「みんながいつもと違うんだ! お前はオレのことわかるよな!? な!?」
「そんなに大声じゃなくても、聞こえるよ……」
少年に揺さぶられ、心はゆっくりと瞼を開く。
そこに映し出されたのは、見たことがないはずの少年である。
だが慌てる様子もなく、心は少年の頭を撫でた。
「ぱかお、どうしたの……。急に大きくなっちゃって……」
「……シンー!! お前はいつもと同じなんだな! よかった!」
「ぐえっ」
少年はそのまま、心に勢いよく抱き付いた。
体を潰され苦しそうな心の声が、部屋に響き渡ったのだった――――――――――。