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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十五話
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相棒だから、ちゃんとわかるよ。

 皆が謎の少年を追い掛けると、心の部屋から美海が出てきた。

 美海はパニック状態といった様子で、目からは涙が零れている。


「し、しらない男の子がきゅうにへやに入ってきた……!」

「……美海ちゃん、ごめん。怖かったよね」


 透花は美海を宥めながら、小さな体を優しく抱き締めた。

 彼女をひょいと抱き上げると、安心させるように言葉を紡ぐ。


「でも、大丈夫。あの子はきっと、美海ちゃんもよく知っている子だよ」

「みう、あんな子しらないよ……」

「そうだね。私たちも、あの姿の彼は知らない。でも……」


 透花が、心の部屋の扉を静かに開ける。

 そこには、少年が眠っている心に馬乗りになっている光景が広がっていた。


「シン! 起きてくれよ、シン!」

「んー……」

「みんながいつもと違うんだ! お前はオレのことわかるよな!? な!?」

「そんなに大声じゃなくても、聞こえるよ……」


 少年に揺さぶられ、心はゆっくりと瞼を開く。

 そこに映し出されたのは、見たことがないはずの少年である。

 だが慌てる様子もなく、心は少年の頭を撫でた。


「ぱかお、どうしたの……。急に大きくなっちゃって……」

「……シンー!! お前はいつもと同じなんだな! よかった!」

「ぐえっ」


 少年はそのまま、心に勢いよく抱き付いた。

 体を潰され苦しそうな心の声が、部屋に響き渡ったのだった――――――――――。

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