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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十五話
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夢、ではないようだ

 透花はその日、いつもと同じように目を覚ましたはずだった。

 だが、“日常”ではない光景が彼女の前に広がっていたのだ。


(えっと、この子、誰かな……?)


 年齢は、心や颯よりも少し幼いくらいだろうか。

 銀色の髪の少年が、透花のベッドの中でスヤスヤと眠っていたのだ。

 透花は少年に全く見覚えがないのだが、問題はそれだけではない。

 少年は一切の服を纏っておらず、完全に裸だった。

 その状態で、透花に抱き付くようにして眠っているのだ。


(どういうこと……? 窓も玄関も、ちゃんと施錠しているのに……?)


 何かあった時のために、彼女の自室の鍵は常に開いている。

 だが、外部からの侵入経路になり得る場所は施錠されているはずだ。

 起きたばかりで頭が働かないということもあり、彼女は珍しく混乱していた。

 急いで文章を作ると、それを隊員たちの通信機へと送る。


『目がさめたら、知らない男の子がいっしょに寝ていた。誰か来てくれないかな』


 焦り過ぎて、所々漢字への変換を忘れるくらいだ。

 送信したとはいえ、まだ早朝で起きている隊員もそれほど多くないだろう。

 そう思った透花は、とりあえず少年と距離を取ろうと試みてみた。


「う~……」


 だが想像以上に彼の力は強く、その腕を引き剝がすことは出来なかった。

 諦めて軽くため息を吐くと、彼女の自室の扉がノックされる音が聞こえる。

 一色隊には、時間を問わずに駆け付けてくれる優秀な隊員がいるようだ。


「どうぞ、入って」


 透花は平静を装いながら、扉の外へと声をかけるのだった――――――――――。

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