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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十四話
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春の陽気に包まれながら、僕は

 微睡んでいると、僕の肩に柔らかに物が掛けられるのを感じた。

 この香り、透花さんのブランケットかな……?

 僕は、閉じそうになる瞼をなんとか開くと、彼女へと視線を向ける。

 だって、ずっと気になっていて、どうしても聞いておきたいことがあるから。


「透花さん……」

「湊人くん、疲れたでしょう? 少し眠った方がいいよ」

「……うん。その前に、一つだけ……。あの声、なんだったの……?」

「声? ああ、もしかして山小屋の管理人を名乗った声のこと?」

「どう聞いても老人の声なのに、扉を開けたら透花さんがいるんだもの……」

「相手を油断させるために、これを使ったんだ」


 透花さんが取り出したのは、小さなメガホンのような物だった。


「それ、ボイスチェンジャー……?」

「ご名答。突然襲撃すると、湊人くんが更に危ない目に遭うかもしれないって思ったから。老人が相手だと思えば、少なからず隙ができるでしょう?」

「そっか、そうだったんだ……。謎が解けたよ……」


 ……どうやら、そろそろ本当に体力の限界みたいだね。

 閉じそうになる瞼を、もう開けることすらできないんだもん。


「湊人くん、お疲れ様。ゆっくり休んで」


 透花さんの声を、最後まで聞き取ることはできなかった。

 春の麗らかな陽気に包まれながら、僕はゆっくりと意識を手放したんだ――――――――――。

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