おんぶって最高ですよね
体に力が入らなくて途方に暮れていると、僕の目の前に大きな背中が現れた。
たくましさと髪色的に、これは蒼一朗さんかな?
……もしかして、僕のことをおんぶしようとしてる?
「ほら、乗れよ」
「……いやあ、さすがにおんぶは恥ずかしいですよ。子どもじゃないですし」
「おんぶが嫌なら、姫抱きか米俵担ぎでもいいんだぜ」
「おんぶって最高ですよね。僕、おんぶしてほしいです」
「こんな怪我してるのに、口は減らねえんだな」
お姫様抱っこか米俵担ぎかおんぶかだったら、おんぶが一番マシでしょ。
僕が蒼一朗さんの肩に両腕を乗せると、そのまま体が持ち上がった。
いつもよりも高い位置に視線があることが、なんだか新鮮だよ。
「じゃあ行こうか。蒼一朗さん、出来るだけ優しく湊人くんを運んであげてね」
「わーってる。俺でもビビるくらいの怪我してるからな、こいつ」
えっ、もしかして僕って結構重症なの?
骨も折れてないし、自分では大したことないと思ってたんだけどなぁ。
「柊平さんと私で、彼らをヘリまで連行します。絶対に一人も逃がさないように」
「かしこまりました。お前たち、立て。行くぞ」
久保寺さんに促されて、男たちはのろのろと立ち上がった。
縄で後ろ手に縛られちゃって、さっきまでとは状況が逆だね。
こうして僕たちは、全員でヘリに向かうことになったんだ――――――――――。