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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十四話
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僕は、簡単に口を割るような男じゃないんだよ。

「おら! 起きろ!」

「うっ……」


 冷たい何かをかけられた僕は、ゆっくりと目を開く。

 顔にかかったのは、味も匂いもしないから有害な液体じゃなさそうだ。

 おおかた、僕を目覚めさせるために冷水でもかけたんだろう。


(この状況は、ちょっとヤバいかもしれないね……)


 目の前には、山小屋の中のような内装が広がっている。

 ……まあ、ぼやけてはっきりとは見えないんだけどさ。

 意識を失う瞬間、僕の手は眼鏡には届かなかったみたいだ。

 透花さんに、どうやってこの場所を知らせようかな……。


「お目覚めみたいだな!? 埋蔵金の場所、吐いてもらうぞ!」


 小屋の中には、依頼人だった奴も含めて五人の男がいる。

 みんな屈強な体をしてるし、僕一人じゃどうにもならない。

 そもそも僕の体は、柱か何かにくくりつけられちゃってるみたいだし。


「さっきも言ったけど、僕は話す気はないですよ」

「……どういう状況か、まだわかってないみたいだな」

「僕の荷物をひっくり返して、手掛かりでも探してみたらどうですか?」

「そんなのとっくにやった! 何も見つからなかったがな!!」


 埋蔵金の場所をメモした紙は、宿泊施設で処分してきたからね。

 今の僕の荷物には、ヒントになるようなものは何も入ってない。

 ……僕にできることは、とにかく時間を稼ぐことだけだ。

 詳しい場所を知りたいんだから、こいつらは僕を殺すことはできない。

 殴ったり蹴られたりはするんだろうけど、そこは我慢しなきゃね。

 正直、さっき殴られた頬がめちゃくちゃ痛いんだけど……。

 こういう体を張った仕事は、僕の管轄じゃないはずなんだけどなぁ。


「………………………………」


 僕はそれから、ひたすらに無言を貫いた。


「おら! 埋蔵金の場所を言え!」

「ぐっ……!」


 男たちは、代わる代わる僕に暴行を加えてくる。

 ……さっきと違って、意識が飛ぶほどの痛みじゃない。

 でも、気絶できないからこの痛みをちゃんと感じてしまうのはキツイな。

 そのまま三十分ほどサンドバックにされたけど、僕は何も話さなかった。

 こう見えても僕、痛みにはそこそこ強いんだよ。

 だって、あの劣悪な鉱山で働いていた過去があるんだからさ――――――――――。

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