バカな人間を相手にするのは疲れるよ。
「この方たちはどなたですか? 一体、どういうことでしょう?」
僕はあくまでも、何も知らないふりを続けるよ。
そっちから尻尾を出してくれるのを、わざわざ待ってたんだからさ。
僕が調べてたのが、失踪した前任者たちのことだけなわけないでしょ。
そっちが僕を調べてたように、依頼人の男についてももちろん調べてたよ。
無害そうに見えるけど、出てくる情報は黒いものばっかりだった。
これで、僕の想像は確信に変わったんだよね。
あ、なんかヤバいことに首を突っ込んじゃったんだってさ。
でも、プログラムの中身が分からなければ上層部に報告することもできない。
だからこうやって、直接ここまで足を運んだんだよね。
この男が悪巧みをしてるなら、僕はそれを取り締まらなきゃいけない。
色々な依頼を受ける二階堂湊人である前に、僕は一色隊の一員だから。
男の目的を暴いて、仲間たちも一網打尽にしたいんだ。
隊で協力して動いた結果、それに気付かれて逃げられるのは避けたかった。
でも、僕一人なら油断して接触してくるはずでしょ?
そのために、延々と続くあぜ道を散歩してたってわけだよ。
「とぼけるな! お前は既にあのプログラムを解いたんだな!?」
「先程も申し上げたように、まだ解析は半分ほどしか終わっていませんよ」
「そんなの嘘だ! ロックを解除したら、この辺りを示すような結果が出たに違いない! だからお前はこの地を訪れた! 埋蔵金目当てでな!」
「埋蔵金……?」
この男、僕の想像よりもずっと頭が悪いみたいだ。
だって、そんなに大切なことをぽろっとしゃべっちゃうんだからさ。