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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十三話
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情報戦で、僕に勝てると思わないでほしいなぁ。

「こんにちは。こんな場所でお会いするなんて驚きました」


 本当は、話しかけられるのをずっと待ってたんだけどね。

 そんなことは顔に出さずに、驚いたふりをしておくよ。


「……こんな偶然があるんですね。そちらは観光ですか?」

「はい。綺麗な空気が吸いたくなったので一人旅をしているんです」

「そうですか……。ところで、私が依頼した件の進捗はどうでしょうか?」

「ああ、ご安心ください。ちゃんと取り組んでいますよ。あと半分ほどで全ての解析が終わると思います。今回の旅行は気分転換も兼ねてるんですよ」

「………………………………」


 男は、何かを探るような視線を僕に向けてくるよ。

 他人にじろじろ見られるのって、正直嫌なんだけどなあ。


「どうかしましたか? 僕の顔に、何かついています?」

「……いえ。本当は、もう解析が終わっているんじゃないかと思いまして」

「まさか! 依頼人のあなたに、僕が嘘を吐く理由がないじゃないですか」

「……あなたは、とても真面目な人だ。一度依頼を引き受けたら、それが終わるまでは旅行なんて絶対にしたりしない。……違いますか?」

「僕を買い被り過ぎですよ。僕だって人間ですから、息抜きくらいします」

「……そうだとしても、このような辺鄙な田舎町は選ばないはずだ。あなたは利便性が高い場所、もしくは自分の部屋が一番好きなのだから」

「へえ! 僕のことをよく知っていますね」

「勿論です。この依頼をするにあたって、あなたについて調べましたから」


 そう言うと男は、ニタリと品のない笑みを浮かべた。

 おやおや、さっきまでとはまるで別人じゃないか。


(ようやく本性を出したね。さーて、ここからが本番だ)


「隠してること、全て話してもらいますよ。お前ら、出てこい!」


 男の合図で、木の影から二人の屈強な男が現れる。

 一人ではないと思ってたけど、手下が二人も隠れてたのか。

 だけど、色々と準備してきたのが自分だけだって思わないでよね。

 僕だって、ちゃんと手回しをしてきてるんだからさ。

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