真実は、自分の目で確かめたいじゃない。
家に帰った僕は、夢中で数式を解いたよ。
複雑だけど、そこまで難解なものじゃない。
時間をかけて、少しずつ答えを紐解いていく。
「できた……!」
そして、その答えを求められていたパスコードとして打ち込んだ。
すると、代わり映えのしなかった画面が移り変わって……。
「これは……?」
どこかの住所らしき文字の羅列が、そこに浮かび上がる。
更なる解析を試みたけど、プログラムにこれ以上先はないみたいだ。
(ということは、これが依頼人の求めていたものだよね)
僕は、その住所について調べてみる。
そこは、何の変哲もない田舎町の野原だった。
ここからだと、日帰りは厳しそうなくらいの距離だ。
(これを報告すれば、成功報酬が貰えるんだろうけど……)
依頼人の男は、大金を払ってまでこの情報を欲しがったんだ。
……ここには、絶対に何かがあるはずだ。
埋められた古代兵器とかだったら、さすがの僕でも後味が悪いなぁ。
そう考えた僕は、ボストンバッグに着替えなどの荷物を詰め始めた。
(明日が休みでラッキーだったよ。何があるのか、この目で確かめたいじゃない)
旅支度を終えると、僕はその住所をメモしてから自室を後にした。
でも、ここで無策で飛び込むほど軽率じゃないんだよね。
屋敷を出る前に、僕はとある部屋に寄った。
そこで、誰とどんな話をしたのかは秘密だよ――――――――――。