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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第七話 タイムは彼を称賛した
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眠る

「透花さん……」

「なんだか嫌な予感がしたから、急いで任務を終えて柊平さんに飛ばしてもらったんだ」


 柊平は、ほとんどの乗り物の運転免許を所持していた。

 上空からは、ヘリコプターのプロペラ音が聞こえる。

 どうやら透花は、そこから飛び降りてきたようだ。


「理玖も連れて来てよかった。早く診てもらおう」

「……動くな」


 透花が心を背負おうとした瞬間、後頭部に何かを突き付けられたのを感じる。


「お、おい……! もうやめとけって……!」

「その女、あのヘリから飛び降りてきたんだぜ……!? 普通じゃない……!」

「……何言ってんだ。どう見ても、武装してないただの女だろうが」


 どうやら彼女は、銃を突きつけられているようだ。

 しかし慌てる様子もなく、静かな声で言い放つ。


「……あなたが、その銃で彼のことを傷つけたのかな」

「ああ、その通りだぜ。あんた何? こいつの仲間?」

「……そうだよ。彼を傷つけたあなたを、私は許さない」

「許さないって、この状況わかって言ってんのかよ!?」

「……状況がわかっていないのは、あなたの方でしょう」


 それは、本当に一瞬の出来事だった。

 透花の頭に当てていたはずの銃口が、いつの間にか男の眉間に突き付けられている。

 彼女の笑顔には、いつものような温度がない。

 怒っているのだ。


「……自分の置かれている状況が、少しはわかってもらえたかな?」

「なっ……!?」


 他の男たちが持っていた麻酔銃も、全てが彼女の手の中に収められていた。


「……心くん、安心してね。もう大丈夫だから」


 心に向けられた笑顔は、いつも通りの優しいものだ。


(透花さん、ありがとう……。この子のこと、守れてよかった……)


 そしてゆっくりと瞼を閉じると、自分が抱えている温かさを感じながら意識を手放したのだった――――――――――。

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