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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十三話
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石橋は叩いて叩いて、ヒビが入りそうになったところで渡るのが好きなんだ。

(うーん、これは困ったことになったかも……)


 例の依頼に取り組み始めてから、あっという間に数日が経ったよ。

 まだ解析は三分の一くらいしか進んでないけど、ここまでは順調だ。

 かかってるプロテクトも、そこまで難しいものじゃないし。

 僕の頭を悩ませてるのは、別のことだった。


(このプログラマーは失踪……。この数学者も行方不明……)


 僕は、独自に前に依頼を受けた人たちについて調べていた。

 依頼人はああ言ってたけど、やっぱり話を聞いてみたいって思ったからさ。

 ……でも、恐らくそうであろう人たちが立て続けにいなくなってるんだよね。

 話を聞くどころか、居場所を特定して会いに行くことすらできないんだ。


(……もしかして、マズいことに首を突っ込んじゃった感じかな?)


 このプログラムの秘密を知ったら、僕も存在を消されたりして……。

 そんな考えが頭を過ぎるのも、ごく自然なことだと思うんだよね。


(幸いなことに、僕は軍人だ。急に行方不明になったら、本部に怪しまれる可能性がある。そうじゃなくても、透花さんが絶対に僕を探すだろうし)


 こうやって考えてみると、そこまで悲観するような状況じゃないか。

 相手だって、僕の本職が軍人だって分かって依頼してきてるんだから。

 まあとりあえず、しばらくは単独行動や夜の外出は控えておこう。

 石橋は叩いて叩いて、ヒビが入りそうになったところで渡るのが好きなんだ。


(ただ依頼をこなすだけじゃダメだ。その他にも、もっと色々調べないと)


 僕は気合いを入れ直すと、再びパソコンに向かい合う。

 部屋のドアの外から夕飯ができたという声がかかっても気付かないほどに、僕は集中して作業に取り組んだんだ――――――――――。

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