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みんなは、私の宝物だよ。
⑰午後十一時、透花の私室にて
颯が部屋を出て行くと、透花は早速場所ごとの意味を調べた。
そして、皆が自分のことをどのように思っていたのかを知ると、嬉しさとともに改めて恥ずかしさが襲ってくるのを感じる。
(……私がバレンタインにあげたお菓子に対して、すごく大きなお返しを貰った気がする。みんな、本当にありがとう。私もみんなのことが大好きだよ)
そんなことを考えながら、透花は自分の左手を見つめる。
一度だけゆっくりとその手を握ってから、ほっとしたように息を吐いた。
(……まだ、大丈夫。ここを離れたくない。みんなと一緒に、いたい……)
透花はその瞬間、全ての感情が抜け落ちたような表情になる。
だがそれは束の間のことで、すぐにいつもの彼女に戻った。
そして、今日貰った全てのプレゼントを愛しそうに、どこか切なそうに見つめるのだった――――――――――。