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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十二話
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子どもに戻れる場所

⑩午後九時十五分、透花の私室にて


 二番手の心は、扉をノックしてから部屋に入っていく。


「いらっしゃい、心くん」

「透花さん、こんばんは……。これ……」


 心は眠そうな目をこすりながら、透花に一枚の布を手渡した。

 ラッピングがされていないところが、何とも心らしい。


「わあ、柔らかくてふわふわだね。とっても気持ちいいよ」

「……ぱかおの毛で作った、膝かけだよ」

「だから最近、ぱかおはスリムになっていたんだね。心くんが編んでくれたの?」

「……うん。晴久さんに教わりながら、作った……」

「ここ数日眠そうだったのは、これを用意してくれていたからだったんだ」

「もう春になっちゃうから、次の冬にでも使ってくれると嬉しい……」

「もちろんだよ。ありがとう、心くん」


 心は膝を折ると、透花の腰に腕を回し腹部に顔を押し付ける体勢になる。


「服の上からでも、別にいいよね……」


 その格好のまま、どうやらお腹にキスをしたようだ。


「ん、安心する……。とっても、眠いや……」


 そう言った数秒後には、安らかな寝息が透花の耳に聞こえてきた。


「すごく頑張ってくれたんだね。心くん、ありがとう」


 赤子のように眠る心の頭を、透花は優しく撫でた。

 腹へのキス、その意味は、回帰――――――――――。

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