ホワイトデーにキスしちゃうぞ♡大作戦☆
春原理玖という男は、基本的には冷静で何事にも動じたりはしない。
しかし、そこに透花が関わってくると話は変わってくるのだ。
透花が喜ぶという言葉に弱い、実に単純な面も持ち合わせている。
「透花さんには部屋に一人で待っててもらって、俺たちは順番にそこに行ってキスをする。それなら、自分と透花さん以外にはどこにキスしたのかわかんないし。我ながらナイスアイディーア♪ りっくん、やーろーうーよー!!」
理玖は溜め息を吐くと、皆が読んでいた紙に視線を落とす。
しばらく考え込んだ後に、更に深い息を吐きながら渋々こう言ったのだ。
「………………………………わかった」
「やった~! りっくんならそう言ってくれるって、俺信じてたよん☆」
虹太はへにゃりと笑うと、皆に向き直る。
「じゃあ、全員参加でお願いしまーす! ホワイトデー当日に決行するから、みんなどの場所にするかちゃーんと考えておいてね♪ あっ、詳しいことは後で紙にまとめて渡すから、それに目を通してくれると嬉しいな~☆」
こうして一色隊の男たち八人による、”ホワイトデーにキスしちゃうぞ♡大作戦☆(タイトル案:椎名虹太)”は決定されたのであった。
平静を装う者、特に動じていない者、明らかにウキウキとしている者など反応は様々だったが、時間は全員に平等に流れていく。
そして、あっという間にホワイトデー当日になったのだった――――――――――。