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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十話
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僕は逃げない

 それから、三十分ほどが経った時のことです。

 部屋の扉が開き、愛甲さんと天川さんが戻ってきました。


「……晴久様、一色様、私たち、決めましたわ」

「……はい。今後のことで、相談に乗っていただきたいのですが……」


 お二人は、話し合った結果を僕たちに伝えてくれました。

 ……そうですか、これがお二人の出した結果なんですね。


「お二人とも、勇気のある決断をありがとうございます。その計画を成功させるために、私たちも全力を尽くします。それでは、これからの話をしましょう」


 僕たちは、今後の計画を立てました。

 ……不確定な要素が多いので、そこまで綿密なものは考えられません。

 何かが起こったら、個人個人がその場で対処しなければならないでしょう。

 それを終えると、透花さんと天川さんは再び顔に化粧を施していきます。

 愛甲さんと一緒に天川さんを手伝ったのですが、難しかったです……。

 来た時と全く同じとは言えませんが、ギャル男に見えるようにはなりました。

 既に夜なので外は暗いですし、サングラスもかけるので大丈夫みたいです。

 それを終えると、柊平さんの車に乗って市街地に向かいます。

 僕と愛甲さんは途中で降り、愛甲さんが宿泊している、そして明日僕たちの婚約パーティーを行う予定の愛甲グループのホテルまで彼女を送り届けました。

 その間に、透花さんと天川さんは両親のホテルに戻って夕飯を食べました。

 ……そこで、喧嘩する演技をして別々の部屋をとったみたいです。

 さすがに、一夜を同じ部屋で過ごすわけにはいきませんから……。

 僕が帰るとフロントに立っていた父が話しかけてきます。


「お客様をきちんと案内することは出来たのか」

「……はい」


 僕は、湊人くんに合成してもらった写真を見せました。

 疑われているわけではないと思うのですが、念のためです。


「ならばいい。明日は大切な日だ。部屋に戻って早く寝ろ」

「……はい。おやすみなさい」


 そう言って自室に戻ろうとした僕を挑発するように、父は言いました。


「てっきり、逃げ出すと思っていたんだがな」

「……そんな必要ありませんから。僕は、逃げません」


 僕は拳をギュっと握ると、真剣な表情で父の顔を見ます。

 驚いているような表情の父にそれ以上の言葉はかけず、立ち去りました。

 そして、愛甲さんと天川さん、そして僕の今後の人生を決めるであろう翌日に向けて、ゆっくりと休んだのでした――――――――――。

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