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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十話
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逃げる必要なんて、ない。

 数時間が経ち、様々な写真を撮り終えた僕たちはコテージへと戻りました。

 中に入ると、愛甲さんと天川さんは手を繋いで仲睦まじそうにしています。

 二人の表情が、先程までと比べ物にならないくらい生き生きしているんです。

 ほんの数時間でしたが、納得のいく話し合いができたみたいでよかったです。

 僕たちは挨拶もそこそこに、まずは湊人くんに送る写真を撮りました。

 それを終えると、透花さんが二人に声をかけます。


「その様子だと、しっかりとお二人の未来について話せたみたいですね」

「一色様、そして晴久様、今回は本当にありがとうございました……!」

「一色隊の皆様に協力していただけなかったら、もう二度と桔梗さんに会うこともできませんでした……!」

「か、顔を上げてください! お二人が幸せになれるなら、それでいいんです」

「ハルくんの言う通りですよ。これからお二人は、どうするのですか?」


 透花さんからの質問に、愛甲さんと天川さんは顔を見合わせます。

 そして、相槌を打つように頷くと真剣な表情で口を開きました。


「……僕たちは、この地を離れようと思います」

「……私たちのことを知る者が誰もいない土地で暮らしていく予定です」


 これは、駆け落ちということですよね……?

 お互いの立場を考えれば、仕方のないことなのかもしれません。

 お二人のお父さんを説得するのは、とても大変でしょうから……。

 でも、本当にこれでいいんでしょうか……?


「……お二人とも、ご家族ときちんと話をしなくて本当によいのですか? あなたたちは、お互いに惹かれた相手を愛しただけじゃないですか。何も悪いことをしていないのだから、逃げる必要なんてないと思いますよ」


 透花さんの言葉は、二人にとって何よりも難しいことです。

 父に話を聞いてもらえない気持ちは、僕もよくわかりますから……。

 ……でも、僕も全く同じ疑問を抱えていました。

 すごく大変なことだと思うけど、ここで逃げちゃダメだと思うんです――――――――――。

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