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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第七話 タイムは彼を称賛した
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邂逅

 しばらく歩いていると、体の感覚が元に戻るのを感じる。

 心は昔から、不思議な体質の持ち主だった。

 動物の言葉を理解し会話ができるだけではない。

 怪我をしても、その治りが常人よりも圧倒的に早いのだ。


(……便利な体だなぁ)


 今回もそのおかげか、あっという間に麻酔が抜けたようだ。

 あれから森への侵入者たちと出くわすことはなかったものの、アルジャンアルパガを見つけることもできなかった。


(……そろそろ日が暮れてくるから、その前に見つけたい。お腹も空いたし……)


 心は手持ちの荷物から蜂蜜が入った瓶を取り出すと、それを口に含む。

 それは、彼が非常食としていつも持ち歩いているものだった。

 二口、三口と進めていると、蜂蜜の甘い香りに混ざって、全く知らない匂いが自分の鼻に届いていることに気付く。

 常人よりも嗅覚が優れているというのも、彼の体質の一つだ。


(嗅いだことのない、動物の匂いだ……)


 先程までは距離が遠すぎて、匂いを感知することができなかったのだろう。

 蜂蜜を鞄に仕舞うと、心は進んでいく。

 歩く度に濃くなるその匂いに、彼は確信した。

 この先に、アルジャンアルパガがいると。


(いた……)


 十分ほど歩いたところで、心は発見する。

 自慢の銀色の毛並みは土に塗れてしまっているが、間違いないだろう。

 想像よりもずっと小さなそのアルパカは体を震わせながら、恐怖に満ちた目で心を見つめていた――――――――――。

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