わかりやすい僕たち
「潤哉様がこちらに……!?」
「はい。僕の恩人が、必ず今日中に連れてくるという話でした」
「まあ……! 色々お話を聞いていた一色様にも会えますのね」
翌朝、僕は愛甲さんに湊人さんの計画について話しました。
その途端、彼女の頬がばら色に染まります。
ここ何日か一緒に過ごしましたが、彼女のこんな表情を見たのは初めてです。
「どうやって監視の目を抜けてきたのでしょう?」
「それが、詳しい話は僕も聞いていないんです」
「では、何時頃いらっしゃるのかというのも……」
「……それも、教えてもらえませんでした。近くまで来たら、透花さんが連絡をくれると言っていたのですが……。僕は顔に出やすいタイプなので、あまり詳細な情報を話すのは危険だと思ったのかもしれませんね」
「私も考えがすぐに顔に出てしまうので、これでよかったのかもしれませんわ」
……愛甲さんは、明らかに上機嫌になっています。
この様子を見て、僕の両親が不審に思うとまずいですね……。
「愛甲さん、少し外に出ませんか? 僕たちの雰囲気がいつもと違うことに両親が気付いたら、今回の計画が台無しになってしまうかもしれません」
「……そうですわね。このままここにいても、私、ずっとソワソワしてしまいそうです。近くまで来たらご連絡をいただけるようですし、ここを離れましょうか」
「はい。どこか温かい場所で時間を潰しましょう」
僕たちはホテルを出ると、近くの喫茶店に向かいました。
二人でお茶を飲みながら、透花さんからの連絡を待ちます。
そのまま、二時間ほどが経った時のことでした。
透花さんから、『あと三十分くらいで着くよ』と連絡が入ったのは――――――――――。