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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第七話 タイムは彼を称賛した
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鈍る

(簡単に見つかるとは思ってなかったけど……)


 心は現地の森に着くと、早速アルジャンアルパガの捜索を始めた。

 しかし、一向に見つかる気配がない。


(もう、この森から離れて人目につかない所まで行けてたらいいな……)


 すでに二時間は歩き通しだった心は、少し休憩しようと木の根元に腰を下ろす。

 しばらくぼーっとしていると、複数の人間の足音が聞こえた。

 どうやら、心の方に近付いてきているようだ。

 透花の言葉を思い出した彼は、極力音を立てずにそこから移動しようとする。

 しかし、足元の枝を踏んでしまい、パキッという音が鳴った。


(あ……)


 その瞬間、心に向かって何かがすごい勢いで飛んできた。

 とっさにかわしたが、避けきれずに腕を少しかする。

 後ろの木に刺さっているそれは、麻酔針だった。


「おい! やったか!?」

「……いや、鳴き声がしなかったから動物じゃなかったのかもなぁ」

「そうか……。よし、もっと奥に行こうぜ」


 どうやら、アルジャンアルパガを捕まえようとする不届き者たちの仕業のようだ。

 おおかた、心をアルパカだと勘違いして撃ってきたのだろう。

 声を出さなかったため、男たちはこちらを確認せずに森の奥へと進んでいく。


(間一髪、でもないか……)


 心はため息を吐きながら、自分の傷口を見た。

 軽くではあったが確実に当たっているため、薬剤は体内に注入されてしまったのだろう。


(……ちょっと、体の感覚が鈍いかも。でも、こんな所で止まってられない……。まだ森の中にアルパカがいるのなら、あの人たちよりも先に見つけないと……!)


 透花からの忠告は、既に頭から抜け落ちていた。

 心は先程よりも自由の効かない体に鞭を打つと、森の奥へと進んでいく。

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