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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第五十話
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思いもよらない客人

 この日も、僕はいつもと変わらない一日を送るはずでした。

 みなさんを見送ってから一通りの家事を終えると、家庭菜園に向かいます。

 最近、じゃがいもやニンジンを植えたんですよ。

 収穫する日を楽しみに、毎日お世話しているんです。


「ぱかおくん、今日もよろしくお願いしますね」


 僕が庭に出ると、どこからともなくぱかおくんがやって来ます。

 害虫がいたら追い払ってくれたり、雑草を食べてくれたり、ぱかおくんは僕の野菜作りのパートナーなんですよ。


(すっかり、火傷も治りましたね。本当によかったです)


 ぱかおくんは、少し前に大火傷を負いました。

 自慢の毛も全て燃えてしまい、包帯を巻かれた姿はとても痛々しかったです。

 でも、今の彼の体には綺麗な銀色の毛が生えそろっています。

 そのふわふわとした愛らしい姿は、見ているだけで心が和むんです。


「ハルくん、お疲れ~! お客さんが来てるよ~!」

「虹太くん、お疲れ様です。えっと、僕にですか?」

「うん☆ 応接間に通しておいたから~」

「ありがとうございます。すぐに向かいますね」


 ぱかおくんと一緒に作業をしていると、虹太くんが屋敷から出てきました。


(僕にお客さんって、雅紀くんでしょうか? いえ、雅紀くんなら事前に連絡をくれますし、虹太くんも彼だって言いますよね。一体、誰なんでしょう?)


 僕は作業を一旦止めると、応接室に向かいます。

 ここを訪ねてくれるような友人は、雅紀くん以外に思い付きません。

 僕はあまり社交的な性格ではないので、友達が多くはないんです。

 他に友人と呼べるのは、軍本部の食堂で働く女性たちくらいでしょうか。

 ですが、彼女たちが僕に会うために屋敷まで来るとは考えにくいですし……。


「お待たせしました。遠野晴久です」


 応接室に着くと、僕はノックをしてからゆっくりと扉を開けます。

 ――――――――――ソファに座る人物を見て、思わず息を飲みました。


「おかあ、さん……」


 そこには、故郷を出てから一度も連絡をとっていなかった、そしてもう二度と会うことはないと思っていた、母の姿があったんです――――――――――。

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