表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十九話
645/780

半纏とクッキーは、相性バツグンなのです。

⑮午後十一時三十分、自室にて


「湊人くん、こんばんは」

「いらっしゃい、透花さん。今日のスープ、とても美味しかったなあ」

「湊人くんが料理の味を褒めてくれるのって珍しいね。嬉しいよ」

「まあ、僕は食べられる物は何でも美味しく感じるからね」

「これもそう思ってもらえるといいのだけれど」


 透花が次に向かったのは、湊人の部屋だ。

 彼に渡された紫色のリボンがかかった袋は、それほど重さはないようだ。


「ありがとう。中身は何かな?」

「チョコクリームを挟んだクッキーにしたよ。ゲームをしながら食べられるように、片手でつまめて、よそ見をしていても零れないものにしたんだ」

「気遣い、感謝するよ。早速、今日の夜食にさせてもらおうかな」

「今晩は徹夜するの?」

「そのつもりだよ。明日は休みだからね」

「精が出るね。また、私も一緒にゲームしたいなぁ」

「今日は休みだったから、明日は仕事でしょ? また今度ね」

「うん。それにしても湊人くん、その格好すごくいいね」


 湊人は、暖かそうな青い半纏を羽織っていた。

 自室にいる時のリラックスした彼は、いつもとは別人のようだ。


「さすが透花さん、見る目あるね。暖かいし軽いし、気に入ってるんだ」

「機能的なんだね。私も欲しいかも」

「じゃあ、僕が買ったサイトで注文しておくよ。色はどうする?」

「わあ、ありがとう! 湊人くんが青だから、私は赤にしようかな」

「赤だね、了解。すぐに注文すれば、明後日には届くと思うよ」

「届いたら、湊人くんの部屋に置いておいてもらうことはできる?」

「別に大丈夫だけど、なんで?」

「今度一緒にゲームをする時に、初めて着たいから!」

「そういうことね。じゃあ半纏は、その日を楽しみに僕が預かっておくよ」

「お願いします。それじゃあ、ゲーム楽しんでね」

「うん。クッキー、ありがとね」

「どういたしまして」


 透花が部屋を出て行くと、湊人はすぐにパソコンに向かった。

 そして、透花が所望していた赤い半纏をクリック一つで注文する。

 それから、先程貰った袋を開け、中にあるクッキーを一つ食べてみる。


(うん、美味しい。こんな夜食があったら、ゲームが捗っちゃうよ)


 口内に広がったのは、さっぱりとした後を引く甘さだった。

 湊人はその後、クッキーをお供に一晩中ゲームに勤しんだのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ