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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十九話
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優しい甘さは、まるであなたのよう

⑪午後九時、自室にて


「ハルくん、こんばんは」

「こんばんは、透花さん。あの、お夕飯とても美味しかったです」

「ありがとう。ハルくんに言われると自信がつくよ」

「特に、メインのお肉がさっぱりしてるのにジューシーで美味しかったです。いつもお肉はあまり食べれないのに、あっという間に食べてしまいました。よかったら、今度レシピを教えてもらえませんか?」

「もちろん。ハルくんがアレンジしたら、もっと美味しい料理になると思うよ」


 透花が次に向かったのは、晴久の部屋だ。

 透花は、黄色のリボンがかかった箱を晴久に渡す。


「はい、どうぞ。お菓子も美味しいって思ってもらえるといいのだけれど」

「ありがとうございます。透花さんの作るものは、いつも美味しいですよ」


 箱を受け取った晴久は、丁寧な仕草で箱を開ける。

 そこには、二色の生チョコレートが並んでいた。


「わあ! とってもいい香りがします。普通の生チョコじゃないですね」

「うん。食べたら何味かわかると思うよ」

「では、お言葉に甘えていただきます。まずはこっちから……」


 晴久は、黄色い方をつまむと口に入れた。

 優しい甘さが、ホロホロと口の中で溶けていく。


「きなこ味ですね。優しくて、僕が大好きな味です」

「気に入ってもらえてよかったよ」

「こっちも、いただいてもいいですか?」

「もちろん。そっちも自信作だよ」


 今度は、茶色と黒の中間のような色の方を食べてみる。

 香ばしく、どこかホッとする香りが晴久の鼻を抜けていった。


「こっちはほうじ茶味ですね。すっきりしていて、とても美味しいです」

「普通のよりも、こういう和風の方がハルくん好きかなって」

「ありがとうございます。残ったものは明日、煎茶と一緒にいただきますね」

「いいね。紅茶よりも合いそう」


 ひとしきり会話をすると、透花は部屋を出て行った。


(どのお茶を淹れましょう。抹茶もいいですし、確かこの間いただいた玉露もありましたよね。案外、玄米茶なんかも合うんじゃないでしょうか)


 自分の手の中にある箱を見ながら、どのお茶を淹れようか迷う。

 そんな晴久の表情は、チョコレートのように甘く優しいものだった――――――――――。

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