表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十九話
639/780

お腹と心を満たす甘さ

⑨午後八時、自室にて


「心くん、こんばんは」

「透花さん、いらっしゃい……。ご飯、すごくおいしかった……」

「それならよかった。心くん、いっぱい食べてくれたもんね」


 その夜、一色邸では透花による豪勢な食事が振る舞われた。

 それぞれに別の物を作ったため、お菓子は部屋に届けるようにしたのだ。

 透花が来るのを、心は今か今かと待ちわびていたらしい。


「はい、これどうぞ」

「ありがとう……」


 透花が心に渡したのは、白い大きな箱だった。

 淡いピンク色のリボンを解き、心は蓋を開ける。

 その途端に、彼の目がキラキラと輝き始めた。


「すごい……。大きい……」


 箱の中に入っていたのは、ガトーショコラだった。

 直径が三十センチメートルほどあり、一人で食べるには明らかに大き過ぎる。


「蜂蜜がたっぷり入ったガトーショコラだよ」

「はちみつ……」

「心くんにはたくさん食べて欲しいと思ったから、大きいのを作ったんだ」

「ありがとう……。嬉しい……」


 心はそう言うと、柔らかな笑顔を透花に見せた。

 父親との一件があってから、彼は少しずつ笑うようになってきているのだ。


「喜んでもらえてよかった。すぐに食べられるようにフォークも持ってきたから、渡しておくね。じゃあ、心ゆくまで楽しんで!」

「うん……。ほんとに、ありがとう……」

「どういたしまして」


 透花が部屋を出て行くと、心は早速それを口へと運ぶ。


(すごく、おいしい……。毎日、食べたいなぁ……)


 蜂蜜とチョコレートの優しい甘さが、彼の心とお腹を満たしていくのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ