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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十八話
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音楽は平和を運んでくれるんだ

「なんて素晴らしい演奏なんでしょう……!」

「ああ、とても幸福な時間だった……!」


 突然の乱入者だった俺の演奏に、みんなは惜しみない拍手を送ってくれた。

 いや~、心が広いお客さんが多くてよかったよ☆

 さてさて、肝心のあの男の人はっと……。


「か、感動した……! まさに、天にも昇る気持ちだ……!!」


 涙を流しながら、笑顔で拍手をしてくれてる。

 この人が、本当に音楽を好きな人でよかった~。

 変に意地を張られて、俺の演奏なんて認めないって言われたら困るしね。


「……先程は、色々と失礼なことを言ってしまった。儂の好みとは違うが、お前たちの演奏も確かに素晴らしいものなのだろう。数々の暴言を詫びさせてくれ」


 男の人は、ピアニストたちに頭を下げて謝った。

 うんうん、俺の演奏中に少し酔いがさめたみたいだね。

 ピアニストたちへの謝罪の言葉も引き出せたし、大成功じゃーん☆

 任務も完了したし、さっさと透花さんのところに戻りますかね~。


「……今の演奏をした者! 待ってくれ!」


 ピアノを離れようとしたら、俺は例の先生に呼び止められちゃったんだ。


「弾く者の情熱が、聴く者の心を震わせる実に素晴らしい演奏だった!」

「あはは、ありがとうございます~」

「名は何と言う? あの腕前だ、さぞかし高名なピアニストなのだろう」

「いえいえ、俺はただの大学生ですよ~」


 別に、名前を言うくらいならいいかもしれない。

 ……でもさ、この会場に、昔の俺を知ってる人がいるかもしれないじゃん?

 最近のコンクールに出ない理由とか聞かれたら、ぶっちゃけめんどいよね~。


「……その顔、どこかで見たことがあると思ったんだ! 椎名虹太くんじゃないか! かつて神童と呼ばれ、数々のコンクールで優勝した天才少年……!」


 そんなことを考えてたら、お客さんの一人から声が上がった。

 ……あらら、やっぱり俺のことを知ってる人がいたみたい。

 さてさて、どうやってこの場を切り抜けますかねー……。

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