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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十八話
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君の王子様になりたいんだ

 俺と透花さんは、手を取り合いながらフロアに立った。

 流れてきた音楽に合わせて、ゆっくりと体を動かす。

 運動はからっきしダメな俺だけど、不思議だよね~。

 子どもの頃に身に付いたことは、そう簡単に忘れないみたい。

 自然と体が動いて、ちゃーんと女の人をリードできるんだよ。

 ピアノも、数年離れてたけど今では普通に弾けるようになってるし。

 俺って、実はものすごく器用なんじゃない!?

 まあ、不器用なこととの振れ幅が大き過ぎるんだけどさ~。

 踊っていると、ちょいちょい他のみんなが目に入る。


(透花さんのこと独り占めしちゃってごめんね。でも、今日は許して~!)


 何人かからは鋭い視線を向けられてる気がするけど、そんなの無視無視!

 だって今日は、俺が透花さんのエスコート役だもん!

 これくらいさせてもらっても、罰は当たんないよね☆


「虹太くん、楽しいね」

「うん☆ すっごく楽しいよ~♪」

「前から思っていたけど、本当にダンスが上手だよね。初めて見た時は驚いたよ」

「ありがと~! 透花さんもとってもうまいよ☆ どこかのお姫様みたい!」

「私がお姫様だったら、虹太くんが王子様かな?」

「あはは、今日はそうだね~」


(ほんとは、今日だけじゃなくてずーっと王子様になれたらいいんだけど……)


 透花さんとりっくんの間に、特別な何かがあるのは俺から見てもわかる。

 その絆に、俺はまだ全然敵わないっていうのも。


(でも、現状に満足してる俺ではないのです!)


 俺は俺のやり方で、これからも透花さんとの距離を縮めていきたいんだ。

 りっくんにも他のみんなにも、負ける気なんてこれっぽっちもないからね!

 俺たちはそれからも、会話を楽しみながらダンスを踊った。

 ……あまりにも楽しかったから、気付かなかったんだ。

 フロアで踊る俺に向けられた、様々な感情が込められた視線に――――――――――。

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