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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十八話
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忘れたくても忘れられない

 今回も俺は、透花さんのエスコートを任されてるんだ~☆

 会場に着くと、透花さんと手を組んでゆっくりと歩く。

 いろんな人に挨拶する透花さんを守るのが俺の仕事だよ!

 まあ、当たり前のように透花さんの方が強いんだけどね~。


「一色殿! 爆破事件の時は大活躍だったそうですな!」

「怪我の方は、もう平気なのですか?」

「はい、掠り傷でしたから。この通り、傷も残っていません」


 この間は、ダンスの誘いを断れなくて途中で柊平さんと交代したからね~。

 今日はちゃーんと、自分のお役目を果たそうと思ってるよ☆


(このまま、平和に終わるといいな~)


 透花さんが話してる時は、俺は基本的に大人しくしてる。

 みんな、透花さんに挨拶したくて声をかけてるからね~。

 もちろん話をふられればしゃべるし、常に笑顔は忘れてないよ♪

 でも、大人の男はそこまで出しゃばらないものなんです!

 俺は、会場のBGMに耳を傾ける。

 今日のパーティーは、何人かのピアニストがかわりばんこで弾いてるみたい。


(あー、この曲いいよね♪ パーティーの鉄板って感じで☆)


 他の人のピアノを聴いてるだけで、勝手に指が踊り出しそうになるよ。

 今はエスコート中だから、ちゃんと我慢するけどね!

 一曲、二曲と終わり、次の曲に差し掛かった時だった。


(この音……!)


 俺の耳に、聴いたことのある音色が飛び込んできたんだ。

 ……絶対に、俺の勘違いなんかじゃない。

 ……だってこれは、いつも俺と優勝を争ってた音なんだから。

 心臓の音が急に大きくなって、耳に直接響いてる気すらした。

 見ないっていう選択肢もあったはずなのに、俺の視線は自然とそっちを向く。


(志摩、くん……)


 想像通りピアノの前には、俺がライバルだと思ってた相手、そして結果としてピアノから離れるきっかけになった人物がいたんだ――――――――――。

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