漆黒の堕天使、けんざーん☆
「確かにこれなら爪は見えないけど、めっちゃ怪我してるみたいじゃん!」
「……誰かに聞かれたら、手荒れが酷いとでも言いなよ」
りっくんが、俺の両手の指に包帯を巻いてくれる。
いい包帯みたいだから、そこまで違和感はないんだけどさ~。
なーんかこれ、大怪我してるみたいじゃん!?
「あはは。厨二病みたいでいいじゃない、虹太くん」
「俺の両手に宿りし漆黒の力が、全てを破壊へ導くのだ……! みたいな~?」
「ちゅうにびょう……? そんな病気があるのか?」
「さあ。僕も知らない病名だけど……」
湊人くんと俺のおふさげに、柊平さんとりっくんは乗っかってこない。
真面目な二人のことだし、厨二病って単語を知らないんだろうな~。
「みんな、お待たせ。そろそろ行こうか」
ハルくんに手を引かれた透花さんが、ゆっくりと階段を下りてきた。
この間とは違う、白いロングドレスに身を包んでる。
やっぱり、いつ見てもキレイな人だよな~。
俺の指に気付くと、いたずらな微笑みを向ける。
「漆黒の堕天使?」
それに俺は、ゆる~い笑顔で返すんだ。
「ここで逢ったのも何かの宿命! そなたも、我が堕としてしんぜよう~!」
この時の俺は、思いもしなかった。
まさかパーティーで、あの人に会っちゃうなんて――――――――――。