表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十七話
614/780

いつか見てみたいもの

 俺はホットミルクを飲みながら、左手を颯くんに差し出してる。

 颯くんはすっごい真剣な表情で、俺の爪に色を塗ってるよ~。

 マニキュアじゃなくてジェルネイルってやつだから、時間がかかるんだよね。

 ……よくわかんないけど、濃い色だから多分黒かな?

 せっかくやってもらっても、色の感想が言えないのは申し訳ないんだよな~。


「……お待たせしました! 完成っす!」

「おおー! すっごいかっこいいデザインじゃーん!」

「あざまっす! 黒を基調に虹太さんの好きなオレンジ色を混ぜながら、大人っぽさを意識してやってみました!」


 ……この言葉に、俺は引っかかるところがあったんだ。


「え? オレンジ?」

「あれ? オレンジ嫌いだったっすか!?」

「いや、そんなことはないけど……」


 そもそも、それがどんな色なのかわかんないし……。


「オレンジ色の服をよく着てるから、てっきり好きなのかと思ってました!」


 あっ、そういうことか……。

 服はデザインで選んで着てるけど、オレンジ色が多かったんだ~。


「……うん☆ 大好きだよ~♪」

「やっぱりそうっすよね! 親しみやすい虹太さんにぴったりな色っすもん!」


 俺にぴったりの色かぁ……。

 いつか自分の目で見てみたいけど、多分無理なんだろうなあ……。

 俺は後ろ向きな気持ちを押し込めて、笑顔を作る。


「ありがと~☆ めっちゃ気に入ったよ♪」

「こちらこそありがとうございました! よかったらまたやらせてください!」

「ピアノを弾く予定がない日があれば、ぜひぜひ~!」


 こうして爪をキレーにしてもらった俺は、颯くんの部屋を出た。

 部屋に戻ってから爪を見てみたけど、やっぱり色はわかんない。

 このままでいると嫌なことを考えちゃいそうだから、俺はすぐにベッドに潜り込んだんだ――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ