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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十七話
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キッチン使用禁止はつらいよ

 任務を明日に控えた夜のことだった。

 俺は、喉が渇いたからキッチンに向かったんだ。


(あったかいものが飲みたいけど、ハルくん起きてるかな~)


 自分であったかい飲み物を作るのは禁止されてるんだよね。

 まあ、キッチンを使う度に問題を起こしちゃったからしょうがないけど!

 その途中で、リビングのソファで項垂れる颯くんを見かけたんだ。


「颯くん、どったの~?」

「あ、虹太さん! さっき、透花さんに明日用のネイルをしてきたんすけど!」

「うんうん」

「そしたらなんか、もっとやりたいって気持ちがガーッと湧いてきて! でも指を貸してくれる人がいないから、ここで悶々としてたんす……!」

「なるほど~」


 颯くんのネイルの練習台になってくれる人って、あんまいないんだよね。

 柊平さんと蒼一朗さんは、男なんだからそんなもんしないってタイプだし。

 りっくんと湊人くんは、仕事の邪魔だって言うし~。

 水仕事が多いハルくんは爪のケアはお願いしてるみたいだけど、さすがに色を塗ったりっていうのまでは遠慮してるみたい。

 心ちゃんはいいよって言ってくれるみたいだけど、高校生だからね~。

 校則でネイルはNGらしいから、すぐにおとさなきゃなんないんだって。

 それに、早寝だからこの時間なら絶対に寝てるだろうしな~。

 俺も、ピアノと本格的に向き合うまではOKしてたんだけどさ。

 キャラ的にも合ってるし、大学の友達も似合ってるって言ってくれたしね☆

 でも、なんとなく指が重くなる気がするから最近は断っちゃってるんだ。

 女の子が苦手な颯くんは、男の人に頼むしかない。

 でも、ネイルをOKしてくれる男の人ってそんなにいないもんね。

 チップで練習してたみたいだけど、生身の人間にやりたくもなるよな~。


「颯くん、俺でよければ久々に練習台になるよ~!」

「え!? マジでいいんすか!? でも、ピアノが……」

「今日はもう寝るし、明日も一日任務だからへーきへーき☆ 明日の任務が終わったらすぐにおとしちゃうことになるけど、それでもだいじょぶ?」

「もちろんっす! 虹太さん、あざっす!」

「いえいえ☆ その代わりと言ったらあれなんだけど、なんかあったかい飲み物作ってくれないかな? ほら、俺キッチンの使用を禁止されてるから~」

「了解っす! すぐに作って持っていくんで、俺の部屋で待っててください!」


 そう言うと、颯くんは慌ただしくキッチンに入っていった。

 電気が消えてて誰もいないっぽいから、お願いできてよかった~。

 牛乳好きの颯くんのことだから、ホットミルクを作ってくれるんだろうな。

 そんなことを考えながら、一足先に颯くんの部屋に向かったんだ。

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